理系弁護士、特許×ビール×宇宙×刑事

理系弁護士・弁理士。特許、知財、宇宙、ビール、刑事事件がテーマです。

特許実務

特許実務-間接侵害と特許クリアランス(その3)

はじめに 下記2つの記事で、前2回にわたって、間接侵害の特許クリアランスについて説明しました。 masakazu-kobayashi.hatenablog.com masakazu-kobayashi.hatenablog.com 今回は、これに関連して、物ないし方法の発明の一部を実施したに過ぎない場合でも…

特許実務-間接侵害と特許クリアランス(その2)

はじめに 前回の記事では、間接侵害と特許クリアランスというタイトルで、物の発明についての間接侵害リスクのポイントを解説しました。 masakazu-kobayashi.hatenablog.com 今回は、その2回目で、方法の発明について取り上げたいと思います。 方法の発明 …

特許実務-間接侵害と特許クリアランス(その1)

はじめに 今回から、間接侵害等が問題となり得る部品・部材・モジュール・材料等についての、特許クリアランスに関する記事を書きたいと思います。 特許クリアランスというのは、企業などが、自社の製品が他社の特許権を侵害していないかを事前に確認・検証…

特許実務-ウェビナーの講師をやりました。

ウェビナーのタイトル はじめに 9月18日(金曜日)に、いわゆるウェビナー(オンライン・セミナー)の講師を担当しました。下記の特許実務に関するセミナーです。 www.rdsc.co.jp タイトルがてんこ盛りなのは、(私が考えたわけではなく、)セミナーの主…

特許実務-進歩性について考える(その7)1個を2個にすることは容易か?(続き)

はじめに 前回は、(スラスタ1個を有する移動体である)1つの引用発明のみに基づいて、(スラスタ2個を有する移動体である)本件発明を容易に想到し得るか、について検討しました。 masakazu-kobayashi.hatenablog.com 今回は、(それぞれ、スラスタ1個…

特許実務-進歩性について考える(その6)1個を2個にすることは容易か?

Painting (Formerly Machine) (1916) Morton Livingston Schamberg はじめに 「進歩性について考える」の第3回、第4回(下記記事)では、進歩性判断の事例として、主引用発明(スラスタ2個の移動体)のみに基づいて、スラスタを(2個から)3個にするこ…

特許実務-進歩性について考える(その5)主引用発明+副引用発明

Painting (Formerly Machine) (1916) Morton Livingston Schamberg はじめに 進歩性に関する下記の第1回、第2回の記事では、進歩性を考えるための前提事項(総論)をご説明しました。 masakazu-kobayashi.hatenablog.com masakazu-kobayashi.hatenablog.co…

特許実務-進歩性について考える(その4)2個を3個にすることは容易か?(続き)

Painting (Formerly Machine) (1916) Morton Livingston Schamberg はじめに 前回の記事では、進歩性に関して「スラスタを2個から3個に増やすことは容易か」というテーマで議論してみました。 masakazu-kobayashi.hatenablog.com 前回の記事では、(引用文…

特許実務-進歩性について考える(その3)2個を3個にすることは容易か?

Painting (Formerly Machine) (1916) Morton Livingston Schamberg はじめに 最近、「進歩性について考える」を始めました。 進歩性の総論と進歩性における本件発明の課題の位置づけについて、下記の2つの記事を書きました。 masakazu-kobayashi.hatenablog…

特許実務-進歩性について考える(その2)本件発明の課題

Painting (Formerly Machine) (1916) Morton Livingston Schamberg はじめに 前回から、進歩性について考えています。 前回は、進歩性を考える前提となる事項についてご説明しました。 masakazu-kobayashi.hatenablog.com 今回は、進歩性を考える上での本件…

特許実務-進歩性について考える(その1)総論

Painting (Formerly Machine) (1916) Morton Livingston Schamberg はじめに 特許要件としての進歩性は、特許法の分野において、①充足性(クレーム解釈)や②均等論の本質的部分、③間接侵害における不可欠品などと並んで、その概念が最も難しいものの一つです…

特許実務-優先権主張の問題

久しぶりに、特許実務についても、記事にしたいと思います。 自信が無いので、間違ってたら、是非指摘してください。 今回は、優先権主張の問題ですが、んー、慣れてないので難しい。 事案 ある会社において、職務発明について、日本人を含む発明者らが米国…

特許入門17(論文問題1-答案構成)

はじめに 今回は、前回記事にした論文問題の答案構成を検討したいと思います。 masakazu-kobayashi.hatenablog.com 論文問題 甲は、「10%以下の物質Aを含むP化合物」の発明について、平成27年3月1日に特許出願し、平成30年3月30日に特許権の設…

特許入門16(論文問題1)

はじめに 先週から、 筑波大学ロースクールの知的財産法演習の講師を担当しているのですが、第1回目の講義では、特許法の論文式試験の答案作成に向けて必要な知識やTipsを説明しました。 たとえば、下記の記事のような内容です。 masakazu-kobayashi.hatena…

特許入門15(要件事実)

はじめに 特許入門として、前回の続きとして、今回は、特許権侵害訴訟の要件事実についてご説明したいと思います。 前回は、下記の記事で、特許法における用語・概念、条文について説明しました。 特許、特許権、特許発明の用語の使い分けなどです。 masakaz…

特許実務-出願か秘匿か

出願か、秘匿か はじめに 今回は、発明が生まれたときに、これを出願するか、出願せずにノウハウとして秘匿するかの判断基準等について、ご説明したいと思います。 出願すべきか秘匿すべきか 発明をした際に、これを全て出願していて頂ければ、特許業界も再…

特許実務-管轄(特許権侵害訴訟の第一審)

はじめに 今回は、特許権侵害訴訟の第一審の管轄についてご説明したいと思います。 特許権侵害訴訴訟の第一審の管轄 結論から言うと、大阪地裁か東京地裁です。この2つの地裁が専属管轄になります。 これは、実は、特許法に規定されているのではなくて、民…

特許実務-審査官、審判官、裁判官の違い

審査官、審判官、裁判官の違い はじめに 今回は、特許権に関する判断者である、特許審査官、特許審判官、(知財部の)裁判官の違いについて説明したいと思います。 特許審査官 特許審査官は、行政処分(特許査定、拒絶査定)をする行政官(行政庁)です。 行…

特許実務-他社特許対応

はじめに 今回は、私の外部セミナーでよく扱う他社特許対応について説明したいと思います。 厳密には、特許という用語は、審査官等がする行政処分なので、他社特許権対応か他社特許発明対応でしょうか。 昔の下記記事を見たら、特許、特許権、特許発明の用語…

特許実務-実施料支払請求訴訟(勝訴!)

はじめに 久しぶりに、自分が主担当だった特許関連事件で勝訴判決でしたので、ちょっと紹介したいと思います。 令和2年(ネ)10008号・令和2年7月9日知財高裁第1部判決[高部裁判長] https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/574/089574_ha…

特許実務-発明報償金の辞退の撤回

はじめに 今回は、発明者(従業員)が、発明報償金の辞退(放棄の意思表示)をした後に、それを撤回する場合について検討したいと思います。 前回の下記記事(発明報償金の辞退)の続きです。 masakazu-kobayashi.hatenablog.com 発明報償金の辞退(放棄の意…

特許実務(ウェットティッシュ事件3 + Cu-Ni-Si系合金事件)

被告製品 はじめに 前々回から、「特許実務」のタイトルで、私が興味を持った裁判例(平成29年(ワ)第28189号 令和2年1月17日 東京地裁40部判決[佐藤裁判長])を紹介しています(https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/418/089418_h…

特許実務(ウェットティッシュ事件2-「略1/2の幅」について)

被告製品の構成 はじめに 前回から、「特許実務」のタイトルで、私が勝手に興味を持った裁判例(平成29年(ワ)第28189号 令和2年1月17日 東京地裁40部判決[佐藤裁判長])を紹介しています(https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/41…

特許実務(ウェットティッシュ事件1-「略(ほぼ)」について)

1 本件特許発明(判決文より引用) はじめに 今回は、「特許実務」のタイトルで、 下記の特許権侵害差止等請求事件の判決を紹介したいと思います。 平成29年(ワ)第28189号(令和2年1月17日東京地裁40部判決[佐藤裁判長]https://www.courts…

特許実務(特許権侵害訴訟で、17条決定)

はじめに 特許権侵害訴訟が提起した場合、通常は、判決(勝訴、敗訴)で終わるか、和解で終わります。 しかし、今回は、特許権侵害訴訟を提起したものの、その事件が調停に付され(付調停)、最終的に、民事調停法17条に基づく決定(調停に代わる決定ない…

特許実務-発明報償金の辞退

はじめに これまで、(既存の教科書とは違う視点で)「特許入門」というタイトルで記事を書いてきたつもりです。 実際の特許実務では、教科書や本に明確に答えが書いていない論点に出くわして、色々悩みます。今後は、このような論点を「特許実務」で取り扱…