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特許実務 - 進歩性の基本的考え方(16)【置換と付加】

はじめに

 

  サボっていた進歩性の基本的考え方のスライド説明を再開したいと思います。

 全体のスライドは、下記です。

 

masakazu-kobayashi.hatenablog.com

 

 今回は、「置換と付加」です。

 

 (私のパソコン、私が刑事事件を扱う影響で「置換」よりも「痴漢」が先に出てきてしまいます。誤変換に注意しなければ・・・。)

 

置換と付加

 

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進歩性の基本的考え方「置換と付加」28頁

 

 引用文献1(主引用発明)と引用文献2(副引用発明)とを組み合わせて、進歩性否定する理屈を考える場合、

 

置換であれば、

 

 「主引用発明(引用文献1記載の発明)において、「構成○」に代えて、

  引用文献2記載の・・・という構成「構成○」を採用(つまり置換)することは、

  容易に想到し得たものである。」

 

となり、

 

付加であれば、

 

 「主引用発明(引用文献1記載の発明)において、

  引用文献2記載の・・・という構成「構成△」を採用(付加)することは、

  容易に想到し得たものである。」

 

となりそうです。

 

 より具体的に見ると、置換の場合は、進歩性を否定するロジックとして、

 ① 引用文献1の既にある「構成○」を(敢えて)削除し、

 ② 別の引用文献2の「構成△」を付加する

わけですから、厳密には2段階です。

 

 付加の場合は、②だけなので1段階です。

 

 そこで、置換の場合には、代替可能性について、しっかりとした理由がないと進歩性を否定するのは、一般的には、付加よりも難しいはずです。

 

 一方で、付加の場合は、ある意味で、付加する「構成△」を採用するかどうかどうかは、引用文献1にはそれに相当する構成が(書いて)なくフリーなわけですから、比較的付加しやすいように思われます。

 

 あくまで、一般論ですが。

 

 また、後日、別の記事で書きたいと思いますが、主引用発明として公然実施品を持ち出さざるを得ない場合、これは、置換が難しい典型です。

 

 だって、公然実施品は、それ自体、完成されているわけですから、敢えて、公然実施品のある構成を、(別の文献の)別の構成に置換するというのは、感覚的にも「なんで?後付けじゃねぇ。」となってしまいそうだからです。

 

f:id:masakazu_kobayashi:20220203171747j:plain

進歩性の基本的考え方「置換と付加」29頁

 

 主引用文献から、あるいは、副引用文献から、本件発明に相当する構成を抽出し、組み合わせるわけですが、構成というのは、(確かに、訴状などで、発明を分説したりしますが、)実際には、互いの構成は密接関連性を有する(切り離すのが難しい)場合は多いです。

 

 上記スライドにあるように、

 

 主引用文献から(構成要件A、B、Cと密接に関連するかもしれない)構成Pを

無視して、構成A+B+Cを抽出し、

 

 副引用文献から(構成要件Dと密接に関連するかもしれない)構成Eを無視して、構成Dを抽出し、

 

 これらを組み合わせて、「本件発明(構成A+B+C+D)が出来た!」というのは、おいおい恣意的じゃねぇか、と言われることもありそうです。

 

 各引用文献における(進歩性を否定するために)抽出すべき構成が他の構成と密接に関連している場合には、ロジックが弱くないか注意が必要です。

 

 言い方を変えると、なんでもかんでも、(構成の)「単なる寄せ集め」にはできないということです。

 

 スライドに書きましたが、補正の文脈での、EPOUnallowable Intermediate Generalisation許されざる中間概念化)を想起させますね。

(なお、敢えて、Generalizationではなく、Generalisationとしました。ヨーロッパかぶれですね。てへ。)

 

最後に

 

 次回は、「特許文献と公然実施品」、「組合せ類型とロジックの強さ」というように、スライドの解説を続けて行きたいと思います。

 

 時間があればですが。コロナの自宅待機になってしまったら、(「手持ち資料なくて、仕事はかどりませ~ん!」とか言いながら、)一気に進みそうですが。

 

 間違っていたり、違うお考えの方は是非ご教示ください(特に、化学系の方)。

 どうぞよろしくお願い致します。

 

 

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