理系弁護士、特許×ビール×宇宙×刑事

理系弁護士・弁理士。特許、知財、宇宙、ビール、刑事事件がテーマです。

特許審査官

自己紹介(理系弁護士)

ザルツブルグのカフェ・モーツアルトにて 東京で弁護士・弁理士をしている小林正和です。 人生半ばに入り、2020年のコロナ危機も経験し、いろいろと思うところもあって、ブログを始めることにしました。 ブログを書く目的は、自分がこれまでどう生きてきて、…

特許実務-進歩性の基本的考え方(ケース5)【単なる寄せ集め?】

ケーススタディ5 はじめに 進歩性判断に関するケーススタディの5回目です。 前回の記事は、下記です。 masakazu-kobayashi.hatenablog.com ケース5 特許庁が公開している知的財産権制度入門テキストの事例から拝借しました。 本件発明: 船外機と空中プロ…

特許実務-進歩性の基本的考え方(ケース4)

ケーススタディ4 はじめに 今回は、進歩性判断のケーススタディ4の記事です。 これまで、進歩性の基本的考え方のスライド(本文)については、これまで順次説明を進めてきました(後少しで終わります)。 ご興味がある方は、ブログのタグの「進歩性」を見…

特許実務 - 特許実務において頻出する悩ましい問題について(セミナー資料)

Various Issues of the Patent Law & Practice in Japan from MasakazuKobayashi13 www.slideshare.net はじめに 昨年末に某大学で行ったセミナーの資料を共有します。 企業等の知財担当者をはじめ、300人近くの方に出席して頂いたそうです。 でも、ウェ…

特許実務 - 進歩性の基本的考え方(プレゼン資料)【全くの私見】

Inventive Step in Japan from MasakazuKobayashi13 www.slideshare.net はじめに 予告しましたように、進歩性に関するプレゼン資料(進歩性の基本的考え方【私見】)をアップしてみました。 作成した経緯 私は、特許審査官を7年半やって、その後、知財系の…

特許実務 - 特許法・実用新案法と実務(プレゼン資料)

Patent, utility model and the practice from MasakazuKobayashi13 www.slideshare.net はじめに 久しぶりのブログですね。 この最近は、知財関連のプレゼンを行うことが多くて、スライドをブログで共有したいなぁと思っていたところ、ツールを発見したので…

特許実務-進歩性の基本的考え方(12)【進歩性の判断者の特質】

判断者(審査官、審判官、裁判官)の違い はじめに 今回は、進歩性の基本的考え方(12)として、進歩性の判断者(審査官、審判官、裁判官)の特質について書きたいと思います。 ここ最近、下記3つの記事のとおり、進歩性判断における、①本件発明の効果、②…

進歩性の基本的考え方(9)

予測できない顕著な効果(イメージ) はじめに 今回は、進歩性の基本的考え方(9)として、予測できない顕著な効果をテーマとして、進歩性について考えてみたいと思います。 進歩性判断における、予測できない顕著な効果 本件発明の効果が、進歩性判断にお…

特許入門21-発明をしてみよう(発明の発掘・創出)

はじめに 最近、「特許実務」記事ばかりで、やや実務的、専門的に過ぎたので、久しぶりに、「特許入門」記事を書いてみようと思います。 テーマは、「発明の発掘・創出」です。 発明の発掘・創出 発明といっても、「エジソンなどの凄い人でないと発明なんて…

特許実務-ウェビナーの講師をやりました。

ウェビナーのタイトル はじめに 9月18日(金曜日)に、いわゆるウェビナー(オンライン・セミナー)の講師を担当しました。下記の特許実務に関するセミナーです。 www.rdsc.co.jp タイトルがてんこ盛りなのは、(私が考えたわけではなく、)セミナーの主…

特許実務-進歩性について考える(その6)1個を2個にすることは容易か?

Painting (Formerly Machine) (1916) Morton Livingston Schamberg はじめに 「進歩性について考える」の第3回、第4回(下記記事)では、進歩性判断の事例として、主引用発明(スラスタ2個の移動体)のみに基づいて、スラスタを(2個から)3個にするこ…

特許実務-進歩性について考える(その5)主引用発明+副引用発明

Painting (Formerly Machine) (1916) Morton Livingston Schamberg はじめに 進歩性に関する下記の第1回、第2回の記事では、進歩性を考えるための前提事項(総論)をご説明しました。 masakazu-kobayashi.hatenablog.com masakazu-kobayashi.hatenablog.co…

特許実務-進歩性について考える(その4)2個を3個にすることは容易か?(続き)

Painting (Formerly Machine) (1916) Morton Livingston Schamberg はじめに 前回の記事では、進歩性に関して「スラスタを2個から3個に増やすことは容易か」というテーマで議論してみました。 masakazu-kobayashi.hatenablog.com 前回の記事では、(引用文…

特許実務-進歩性について考える(その3)2個を3個にすることは容易か?

Painting (Formerly Machine) (1916) Morton Livingston Schamberg はじめに 最近、「進歩性について考える」を始めました。 進歩性の総論と進歩性における本件発明の課題の位置づけについて、下記の2つの記事を書きました。 masakazu-kobayashi.hatenablog…

特許入門15(要件事実)

はじめに 特許入門として、前回の続きとして、今回は、特許権侵害訴訟の要件事実についてご説明したいと思います。 前回は、下記の記事で、特許法における用語・概念、条文について説明しました。 特許、特許権、特許発明の用語の使い分けなどです。 masakaz…

特許実務-審査官、審判官、裁判官の違い

審査官、審判官、裁判官の違い はじめに 今回は、特許権に関する判断者である、特許審査官、特許審判官、(知財部の)裁判官の違いについて説明したいと思います。 特許審査官 特許審査官は、行政処分(特許査定、拒絶査定)をする行政官(行政庁)です。 行…

特許実務-他社特許対応

はじめに 今回は、私の外部セミナーでよく扱う他社特許対応について説明したいと思います。 厳密には、特許という用語は、審査官等がする行政処分なので、他社特許権対応か他社特許発明対応でしょうか。 昔の下記記事を見たら、特許、特許権、特許発明の用語…

特許実務(ウェットティッシュ事件1-「略(ほぼ)」について)

1 本件特許発明(判決文より引用) はじめに 今回は、「特許実務」のタイトルで、 下記の特許権侵害差止等請求事件の判決を紹介したいと思います。 平成29年(ワ)第28189号(令和2年1月17日東京地裁40部判決[佐藤裁判長]https://www.courts…

特許入門9(発明を言葉で表現することの難しさ1)

はじめに 特許権を取得するためには、発明を、特許請求の範囲という書面において、日本語等で記載し、他の書類とともに、特許庁に出願する必要があります。 つまり、クレームで、欲しい権利範囲を、日本語で「うまく」表現する必要があるのです。 発明品(実…

特許入門8(鉛筆特許のクレームの検討2)

前回の「平坦面を有する」クレーム検討について 前回は、 「表面に平坦面を有することを特徴とする筆記用具。」 というクレームについて、 (1)形状の特定としての「平坦面」に、「転がり止めのための」という機能的な形容句をつけてみたり、あるいは、 (…

特許入門7(鉛筆特許のクレームの検討1)

クレームの構築(前回) 前回、下記の記事では、六角形断面の鉛筆の仮想事例について、クレームの構築を試みました。 masakazu-kobayashi.hatenablog.com <仮想事例> 従来、世の中には、円形断面の鉛筆しかなかった。 しかし、机から転がり落ちるという不…

特許入門6(技術思想の追及と重層的な権利範囲の構築)

はじめに これまで、特許入門2~5の4回にわたって、「強い特許とは?」何かを説明しました。 masakazu-kobayashi.hatenablog.com masakazu-kobayashi.hatenablog.com masakazu-kobayashi.hatenablog.com masakazu-kobayashi.hatenablog.com 今回は、これ…

特許入門5(強い特許とは?-第4回最終回)

強い特許→立証が容易な特許 はじめに これまで3回にわたってご説明してきました「強い特許とは?」の第4回目(最終回)です。 「強い特許」とは、 (1)広い特許であること (2)つぶれない特許であること (3)回避困難な特許であること (4)立証が…

京アニ事件の被疑者の逮捕・勾留

京アニ事件について 書くのをちょっと迷ったのですが、書くことにします。 京都アニメーション放火殺人事件は、36人の死者、33人が重軽傷を負ったという凄まじく悲惨な事件です。ご遺族・負傷者・関係者の辛さは想像を絶するものだと思います。もし、自…

その弁護士は、本当の特許弁護士か?

その弁護士は本当に特許弁護士か? 特許の紛争案件は、一般的な紛争(賃貸借をめぐる紛争や、借金問題や、相続問題など)と違い、独特の法律と独特の実務があるので、普通の弁護士はなかなか扱いません。特許の紛争を扱える弁護士を、ちょっと格好つけて「特…

特許入門1(特許法とは?)

AB:「どうもー。〇〇〇〇〇〇です。お願いしま~す。」 B:「あー、ありがとうございますぅ~~~、ね、今、『特許出願中のアベノマスクの使い終わった方』を頂きましたけどもね~。」 AB:「ありがとうございます。」 B:「こんなん、なんぼあってもいいです…

理系から知財の世界へ、そして弁護士へ

なぜ、理系から弁護士になったか? 学生時代までは生粋の理系でした。算数・理科は大好き、国語・社会は大嫌いでした。 教科書などを除いて、本もほぼ読んだこともありませんでした。それでも頑張れば弁護士になれるのです。 三重から上京し、東京生活が非常…