理系弁護士、特許×ビール×宇宙×刑事

理系弁護士・弁理士。特許、知財、宇宙、ビール、刑事事件がテーマです。

特許実務

特許実務-進歩性の基本的考え方(5)

はじめに 今回は、進歩性の基本的考え方(5)として、動機付け要素(総合考慮による判断)をテーマに、進歩性についてご説明したいと思います。 前回までの記事は以下のとおりです。 masakazu-kobayashi.hatenablog.com masakazu-kobayashi.hatenablog.com …

特許実務-進歩性の基本的考え方(4)

はじめに 今回は、進歩性の基本的考え方(4)として、進歩性の判断枠組みをテーマとして、進歩性についてご説明したいと思います。 これまでの記事は、進歩性の性質についての内容で、以下のとおりです。 masakazu-kobayashi.hatenablog.com masakazu-kobay…

特許実務-進歩性の基本的考え方(3)

論より証拠(証拠>>>論理) はじめに 前2回の進歩性の基本的考え方(1)、(2)では、進歩性の性質について、ご説明しました。 masakazu-kobayashi.hatenablog.com masakazu-kobayashi.hatenablog.com masakazu-kobayashi.hatenablog.com 今回は、進歩…

特許実務-進歩性の基本的考え方(2)

進歩性の性質(続き) はじめに 今回は、進歩性の基本的考え方(2)です。 masakazu-kobayashi.hatenablog.com masakazu-kobayashi.hatenablog.com 前回の続きで、進歩性の性質についてです。 1.進歩性の判断に真理(絶対的正解)はない。 前回の進歩性の…

特許実務-進歩性の基本的考え方(1)

進歩性の考え方 はじめに 前回予告しましたように、元審査官、弁護士・弁理士の立場から、進歩性の基本的考え方について、記事にすることにしました。 masakazu-kobayashi.hatenablog.com トピックとしては、以下のものを考えています。 進歩性の基本的考え…

特許実務-進歩性の基本的考え方(0)

進歩性の考え方(サンプルスライド2-動機付け要素(総合考慮による判断)) はじめに 以前に、「進歩性について考える」とのタイトルで、(その1)から(その7)まで記事を書きましたが、短期間で終わってしまいました。 masakazu-kobayashi.hatenablog.…

特許実務-企業と大学との共同研究契約(その2)

はじめに 前回は、企業と大学との共同研究契約について、重要なポイントをご説明しました。 masakazu-kobayashi.hatenablog.com 少し、書き足りなかったので、補足したいと思います。 研究成果の公表 大学にとっては研究成果を公表することは実績であり、い…

特許実務-企業と大学との共同研究契約

はじめに 今回は、企業と大学との共同研究契約において、よく問題となる点について、記事にしたいと思います。 特許権等の帰属 共同研究の過程において、発明等が創作された場合、特許を受ける権利等は、理論的には、①企業の単独、②大学の単独、あるいは、③…

特許実務-部品・部材の供給を受ける場合の問題点

はじめに 「部品・部材の供給」関係の問題点は、本当にたくさんあります。 以前にも、この問題に関連する事例を取り上げました。 masakazu-kobayashi.hatenablog.com もう1つ取り上げたいと思います。 事例 ・X社は、Y社に、X部材を供給している。 ・Y…

特許実務-査証手続の運用に関するQ&A

はじめに 裁判所から、「査証手続の運用に関するQ&A」が出ています。 www.courts.go.jp 下記のPDF版では、Q&Aに番号が付されているので、こちらもご参照ください。 https://www.courts.go.jp/tokyo/vc-files/tokyo/2020/tizai-sasyou-qa.pdf ちょっ…

特許実務-間接侵害(製造方法の発明で、実施許諾がある/ない場合)

はじめに 最近は、部品・部材の供給・納品と間接侵害についての記事を連続していますが、前回に引き続き、間接侵害の話題です。 masakazu-kobayashi.hatenablog.com 事案 先の業務委託先でのプレゼンでも事案として取り上げた事例なのですが、 ① X社は、あ…

特許実務-間接侵害のリスクが高い部品・部材

間接侵害等に関するプレゼンの項目 はじめに 本日、私が業務委託で働いている会社で、間接侵害等のリスク分類とそのポイントについてプレゼンをしました。同タイトルで総論のお話をし、各論として出席者から事前に頂いた5件の間接侵害が問題となる具体的事…

特許実務-特許保証規定がない!

はじめに 前2回に分けて、間接侵害と特許保証について説明しました。 masakazu-kobayashi.hatenablog.com masakazu-kobayashi.hatenablog.com 具体的には、ある会社が、他社へ部品を供給したり、他社から供給を受けたりする場合で、自社での特許クリアラン…

特許実務-間接侵害と特許保証(その2)

はじめに 前回は、下記記事で、間接侵害と特許保証、具体的には、部品供給側の場合における特許保証(第三者の特許権等を侵害していた場合の保証規定)のポイントについて取り上げました。 masakazu-kobayashi.hatenablog.com 今回は、部品受領側の特許保証…

特許実務-間接侵害と特許保証(その1)

はじめに これまで全4回にわたり、間接侵害と特許クリアランス(その1)~(その4)というタイトルで、判断が難しい間接侵害(複数主体による特許発明の実施の場合を含む)について、特許クリアランスの観点から、重要なポイントを解説しました。 masakaz…

特許実務-間接侵害と特許クリアランス(その4)

間接侵害(発明の一部実施を含む)の特許クリアランス はじめに これまで3回にわたり、下記の記事で、間接侵害(発明の一部を実施する場合を含む。)と特許クリアランスについて書きました。 3回の説明で、ちょっとごちゃごちゃしてしまったので、今回は、…

特許実務-間接侵害と特許クリアランス(その3)

はじめに 下記2つの記事で、前2回にわたって、間接侵害の特許クリアランスについて説明しました。 masakazu-kobayashi.hatenablog.com masakazu-kobayashi.hatenablog.com 今回は、これに関連して、物ないし方法の発明の一部を実施したに過ぎない場合でも…

特許実務-間接侵害と特許クリアランス(その2)

はじめに 前回の記事では、間接侵害と特許クリアランスというタイトルで、物の発明についての間接侵害リスクのポイントを解説しました。 masakazu-kobayashi.hatenablog.com 今回は、その2回目で、方法の発明について取り上げたいと思います。 方法の発明 …

特許実務-間接侵害と特許クリアランス(その1)

はじめに 今回から、間接侵害等が問題となり得る部品・部材・モジュール・材料等についての、特許クリアランスに関する記事を書きたいと思います。 特許クリアランスというのは、企業などが、自社の製品が他社の特許権を侵害していないかを事前に確認・検証…

特許実務-ウェビナーの講師をやりました。

ウェビナーのタイトル はじめに 9月18日(金曜日)に、いわゆるウェビナー(オンライン・セミナー)の講師を担当しました。下記の特許実務に関するセミナーです。 www.rdsc.co.jp タイトルがてんこ盛りなのは、(私が考えたわけではなく、)セミナーの主…

特許実務-進歩性について考える(その7)1個を2個にすることは容易か?(続き)

はじめに 前回は、(スラスタ1個を有する移動体である)1つの引用発明のみに基づいて、(スラスタ2個を有する移動体である)本件発明を容易に想到し得るか、について検討しました。 masakazu-kobayashi.hatenablog.com 今回は、(それぞれ、スラスタ1個…

特許実務-進歩性について考える(その6)1個を2個にすることは容易か?

Painting (Formerly Machine) (1916) Morton Livingston Schamberg はじめに 「進歩性について考える」の第3回、第4回(下記記事)では、進歩性判断の事例として、主引用発明(スラスタ2個の移動体)のみに基づいて、スラスタを(2個から)3個にするこ…

特許実務-進歩性について考える(その5)主引用発明+副引用発明

Painting (Formerly Machine) (1916) Morton Livingston Schamberg はじめに 進歩性に関する下記の第1回、第2回の記事では、進歩性を考えるための前提事項(総論)をご説明しました。 masakazu-kobayashi.hatenablog.com masakazu-kobayashi.hatenablog.co…

特許実務-進歩性について考える(その4)2個を3個にすることは容易か?(続き)

Painting (Formerly Machine) (1916) Morton Livingston Schamberg はじめに 前回の記事では、進歩性に関して「スラスタを2個から3個に増やすことは容易か」というテーマで議論してみました。 masakazu-kobayashi.hatenablog.com 前回の記事では、(引用文…

特許実務-進歩性について考える(その3)2個を3個にすることは容易か?

Painting (Formerly Machine) (1916) Morton Livingston Schamberg はじめに 最近、「進歩性について考える」を始めました。 進歩性の総論と進歩性における本件発明の課題の位置づけについて、下記の2つの記事を書きました。 masakazu-kobayashi.hatenablog…

特許実務-進歩性について考える(その2)本件発明の課題

Painting (Formerly Machine) (1916) Morton Livingston Schamberg はじめに 前回から、進歩性について考えています。 前回は、進歩性を考える前提となる事項についてご説明しました。 masakazu-kobayashi.hatenablog.com 今回は、進歩性を考える上での本件…

特許実務-進歩性について考える(その1)総論

Painting (Formerly Machine) (1916) Morton Livingston Schamberg はじめに 特許要件としての進歩性は、特許法の分野において、①充足性(クレーム解釈)や②均等論の本質的部分、③間接侵害における不可欠品などと並んで、その概念が最も難しいものの一つです…

特許実務-優先権主張の問題

久しぶりに、特許実務についても、記事にしたいと思います。 自信が無いので、間違ってたら、是非指摘してください。 今回は、優先権主張の問題ですが、んー、慣れてないので難しい。 事案 ある会社において、職務発明について、日本人を含む発明者らが米国…

特許入門17(論文問題1-答案構成)

はじめに 今回は、前回記事にした論文問題の答案構成を検討したいと思います。 masakazu-kobayashi.hatenablog.com 論文問題 甲は、「10%以下の物質Aを含むP化合物」の発明について、平成27年3月1日に特許出願し、平成30年3月30日に特許権の設…

特許入門16(論文問題1)

はじめに 先週から、 筑波大学ロースクールの知的財産法演習の講師を担当しているのですが、第1回目の講義では、特許法の論文式試験の答案作成に向けて必要な知識やTipsを説明しました。 たとえば、下記の記事のような内容です。 masakazu-kobayashi.hatena…