理系弁護士、特許×ビール×宇宙×刑事

理系弁護士・弁理士。特許、知財、宇宙、ビール、刑事事件がテーマです。

特許

自己紹介(理系弁護士)

ザルツブルグのカフェ・モーツアルトにて 東京で弁護士・弁理士をしている小林正和です。 人生半ばに入り、2020年のコロナ危機も経験し、いろいろと思うところもあって、ブログを始めることにしました。 ブログを書く目的は、自分がこれまでどう生きてきて、…

特許実務-進歩性の基本的考え方(ケース1)

ケーススタディ1 はじめに これまで、13回にわたって、進歩性の基本的考え方について記事にしてきました。 論理付けやら、本件発明の課題、効果など、進歩性の文脈で問題となるトピックについて説明してきました。 これからも暫くは続けていく予定なので…

進歩性の基本的考え方(13)【技術的思想ないし技術思想】

技術的思想(技術思想) ※私見(諸説あり) はじめに 今回は、進歩性の基本的考え方(13)として、技術的思想(技術思想)をテーマにしたいと思います。 技術的思想(技術思想)の意義 進歩性判断の文脈でも、裁判例などで、時々「公知文献は、特許発明と…

特許実務-進歩性の基本的考え方(3)

論より証拠(証拠>>>論理) はじめに 前2回の進歩性の基本的考え方(1)、(2)では、進歩性の性質について、ご説明しました。 masakazu-kobayashi.hatenablog.com masakazu-kobayashi.hatenablog.com masakazu-kobayashi.hatenablog.com 今回は、進歩…

特許実務-進歩性の基本的考え方(2)

進歩性の性質(続き) はじめに 今回は、進歩性の基本的考え方(2)です。 masakazu-kobayashi.hatenablog.com masakazu-kobayashi.hatenablog.com 前回の続きで、進歩性の性質についてです。 1.進歩性の判断に真理(絶対的正解)はない。 前回の進歩性の…

特許実務-進歩性の基本的考え方(1)

進歩性の考え方 はじめに 前回予告しましたように、元審査官、弁護士・弁理士の立場から、進歩性の基本的考え方について、記事にすることにしました。 masakazu-kobayashi.hatenablog.com トピックとしては、以下のものを考えています。 進歩性の基本的考え…

宇宙醸造(宇宙×ビール×特許)

はじめに 私のブログのタイトルは、「理系弁護士、特許×ビール×宇宙×刑事」なわけですが、「宇宙」の話題が全然出てきていませんでした・・・。 以前の下記記事は、数か月前のものになってしまっています。 masakazu-kobayashi.hatenablog.com masakazu-koba…

特許実務-企業と大学との共同研究契約

はじめに 今回は、企業と大学との共同研究契約において、よく問題となる点について、記事にしたいと思います。 特許権等の帰属 共同研究の過程において、発明等が創作された場合、特許を受ける権利等は、理論的には、①企業の単独、②大学の単独、あるいは、③…

特許入門21-発明をしてみよう(発明の発掘・創出)

はじめに 最近、「特許実務」記事ばかりで、やや実務的、専門的に過ぎたので、久しぶりに、「特許入門」記事を書いてみようと思います。 テーマは、「発明の発掘・創出」です。 発明の発掘・創出 発明といっても、「エジソンなどの凄い人でないと発明なんて…

特許実務-特許保証規定がない!

はじめに 前2回に分けて、間接侵害と特許保証について説明しました。 masakazu-kobayashi.hatenablog.com masakazu-kobayashi.hatenablog.com 具体的には、ある会社が、他社へ部品を供給したり、他社から供給を受けたりする場合で、自社での特許クリアラン…

特許実務-間接侵害と特許保証(その1)

はじめに これまで全4回にわたり、間接侵害と特許クリアランス(その1)~(その4)というタイトルで、判断が難しい間接侵害(複数主体による特許発明の実施の場合を含む)について、特許クリアランスの観点から、重要なポイントを解説しました。 masakaz…

特許実務-間接侵害と特許クリアランス(その4)

間接侵害(発明の一部実施を含む)の特許クリアランス はじめに これまで3回にわたり、下記の記事で、間接侵害(発明の一部を実施する場合を含む。)と特許クリアランスについて書きました。 3回の説明で、ちょっとごちゃごちゃしてしまったので、今回は、…

特許実務-間接侵害と特許クリアランス(その3)

はじめに 下記2つの記事で、前2回にわたって、間接侵害の特許クリアランスについて説明しました。 masakazu-kobayashi.hatenablog.com masakazu-kobayashi.hatenablog.com 今回は、これに関連して、物ないし方法の発明の一部を実施したに過ぎない場合でも…

特許実務-間接侵害と特許クリアランス(その2)

はじめに 前回の記事では、間接侵害と特許クリアランスというタイトルで、物の発明についての間接侵害リスクのポイントを解説しました。 masakazu-kobayashi.hatenablog.com 今回は、その2回目で、方法の発明について取り上げたいと思います。 方法の発明 …

特許実務-間接侵害と特許クリアランス(その1)

はじめに 今回から、間接侵害等が問題となり得る部品・部材・モジュール・材料等についての、特許クリアランスに関する記事を書きたいと思います。 特許クリアランスというのは、企業などが、自社の製品が他社の特許権を侵害していないかを事前に確認・検証…

特許実務-進歩性について考える(その7)1個を2個にすることは容易か?(続き)

はじめに 前回は、(スラスタ1個を有する移動体である)1つの引用発明のみに基づいて、(スラスタ2個を有する移動体である)本件発明を容易に想到し得るか、について検討しました。 masakazu-kobayashi.hatenablog.com 今回は、(それぞれ、スラスタ1個…

特許実務-進歩性について考える(その6)1個を2個にすることは容易か?

Painting (Formerly Machine) (1916) Morton Livingston Schamberg はじめに 「進歩性について考える」の第3回、第4回(下記記事)では、進歩性判断の事例として、主引用発明(スラスタ2個の移動体)のみに基づいて、スラスタを(2個から)3個にするこ…

特許実務-進歩性について考える(その5)主引用発明+副引用発明

Painting (Formerly Machine) (1916) Morton Livingston Schamberg はじめに 進歩性に関する下記の第1回、第2回の記事では、進歩性を考えるための前提事項(総論)をご説明しました。 masakazu-kobayashi.hatenablog.com masakazu-kobayashi.hatenablog.co…

特許実務-進歩性について考える(その3)2個を3個にすることは容易か?

Painting (Formerly Machine) (1916) Morton Livingston Schamberg はじめに 最近、「進歩性について考える」を始めました。 進歩性の総論と進歩性における本件発明の課題の位置づけについて、下記の2つの記事を書きました。 masakazu-kobayashi.hatenablog…

特許実務-進歩性について考える(その2)本件発明の課題

Painting (Formerly Machine) (1916) Morton Livingston Schamberg はじめに 前回から、進歩性について考えています。 前回は、進歩性を考える前提となる事項についてご説明しました。 masakazu-kobayashi.hatenablog.com 今回は、進歩性を考える上での本件…

特許入門20ー論文問題2の解説

はじめに 前回は、下記の記事で、司法試験向けの特許法の論文問題2(自作)を紹介しました。 今回は、その解説です。 masakazu-kobayashi.hatenablog.com 論文問題 1.甲は、「A部材、B部材、及び、C部材からなり、Cの断面形状が『真円形(=まんまる…

特許入門19-論文問題2

はじめに 今回は、私が、筑波ロースクールの知的財産法演習で扱った(司法試験を意識した)論文問題の2問目です。 前回までに、論文問題1を検討しました。 masakazu-kobayashi.hatenablog.com masakazu-kobayashi.hatenablog.com 論文問題2 1.甲は、「…

特許入門18(論文問題1-起案例)

はじめに 筑波ロースクールで知的財産法演習(特許法と著作権法)の講師をしているのですが、講義で扱った論文問題1(オリジナル)の問題と答案構成を以前に記事にしました。 masakazu-kobayashi.hatenablog.com 今回は、起案例(甲の乙に対する請求のみ)…

特許実務-優先権主張の問題

久しぶりに、特許実務についても、記事にしたいと思います。 自信が無いので、間違ってたら、是非指摘してください。 今回は、優先権主張の問題ですが、んー、慣れてないので難しい。 事案 ある会社において、職務発明について、日本人を含む発明者らが米国…

特許入門17(論文問題1-答案構成)

はじめに 今回は、前回記事にした論文問題の答案構成を検討したいと思います。 masakazu-kobayashi.hatenablog.com 論文問題 甲は、「10%以下の物質Aを含むP化合物」の発明について、平成27年3月1日に特許出願し、平成30年3月30日に特許権の設…

特許入門15(要件事実)

はじめに 特許入門として、前回の続きとして、今回は、特許権侵害訴訟の要件事実についてご説明したいと思います。 前回は、下記の記事で、特許法における用語・概念、条文について説明しました。 特許、特許権、特許発明の用語の使い分けなどです。 masakaz…

特許入門14(用語・概念、条文)

はじめに しばらく特許実務シリーズが続いていたのですが、久しぶりに、特許入門シリーズを再開したいと思います。両者の区別は正直曖昧ですが・・・。 今日から、筑波ロースクールで知的財産法演習の講義(でも、残念ながら、オンライン授業)が始まります…

特許実務-審査官、審判官、裁判官の違い

審査官、審判官、裁判官の違い はじめに 今回は、特許権に関する判断者である、特許審査官、特許審判官、(知財部の)裁判官の違いについて説明したいと思います。 特許審査官 特許審査官は、行政処分(特許査定、拒絶査定)をする行政官(行政庁)です。 行…

特許入門13(他の技術分野への発明の適用)

はじめに 久しぶりに、特許入門に戻ってきました。 従来、「円形断面の鉛筆」しかなかった仮想世界において、机からの転がりを防止できる六角形断面の鉛筆の発明した場合、この発明をどう権利化するか(具体的には、どのようなクレームに書くべきか)という…

特許実務-実施料支払請求訴訟(勝訴!)

はじめに 久しぶりに、自分が主担当だった特許関連事件で勝訴判決でしたので、ちょっと紹介したいと思います。 令和2年(ネ)10008号・令和2年7月9日知財高裁第1部判決[高部裁判長] https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/574/089574_ha…