理系弁護士、特許×ビール×宇宙×刑事

理系弁護士・弁理士。特許、知財、宇宙、ビール、刑事事件がテーマです。

特許

自己紹介(理系弁護士)

ザルツブルグのカフェ・モーツアルトにて 東京で弁護士・弁理士をしている小林正和です。 人生半ばに入り、2020年のコロナ危機も経験し、いろいろと思うところもあって、ブログを始めることにしました。 ブログを書く目的は、自分がこれまでどう生きてきて、…

特許実務 - 進歩性の基本的考え方(19)【示唆と阻害要因】

はじめに 前回(下記記事)に続き、進歩性の基本的考え方(19)です。 テーマは、示唆と阻害要因です。 masakazu-kobayashi.hatenablog.com masakazu-kobayashi.hatenablog.com 示唆 示唆 「示唆」というのは、ある引用発明の内容中に、他の引用発明を適用…

特許実務-進歩性の基本的考え方(18)【組合せ類型とロジックの強さ】

はじめに 進歩性の基本的考え方(18)です。 「20回シリーズ」+「ケーススタディ1~5」の記事を書く予定で、 ほぼ完成しているので、まもなくこの進歩性シリーズも、「一応」終わります。 ご興味のある方は、進歩性のタブで各記事をお読みください。 …

特許実務-進歩性の基本的考え方(ケース5)【単なる寄せ集め?】

ケーススタディ5 はじめに 進歩性判断に関するケーススタディの5回目です。 前回の記事は、下記です。 masakazu-kobayashi.hatenablog.com ケース5 特許庁が公開している知的財産権制度入門テキストの事例から拝借しました。 本件発明: 船外機と空中プロ…

特許実務-進歩性の基本的考え方(ケース4)

ケーススタディ4 はじめに 今回は、進歩性判断のケーススタディ4の記事です。 これまで、進歩性の基本的考え方のスライド(本文)については、これまで順次説明を進めてきました(後少しで終わります)。 ご興味がある方は、ブログのタグの「進歩性」を見…

特許実務 - 特許実務において頻出する悩ましい問題について(セミナー資料)

Various Issues of the Patent Law & Practice in Japan from MasakazuKobayashi13 www.slideshare.net はじめに 昨年末に某大学で行ったセミナーの資料を共有します。 企業等の知財担当者をはじめ、300人近くの方に出席して頂いたそうです。 でも、ウェ…

特許実務 - 進歩性の基本的考え方(17)【公知文献(特許文献)と公然実施品】

公知文献(特許文献)と公然実施品 はじめに 進歩性の基本的考え方の記事を再開しています。 前回は、主引用発明に副引用発明を付加する場合と置換する場合についてでした。 masakazu-kobayashi.hatenablog.com 今回は、公然実施品を進歩性否定のロジックで…

特許実務 - 進歩性の基本的考え方(16)【置換と付加】

はじめに サボっていた進歩性の基本的考え方のスライド説明を再開したいと思います。 全体のスライドは、下記です。 masakazu-kobayashi.hatenablog.com 今回は、「置換と付加」です。 (私のパソコン、私が刑事事件を扱う影響で「置換」よりも「痴漢」が先…

特許実務 - 複数の特許権、複数の被告、併合

はじめに 下記の進歩性のスライドが思いのほか好評でした。ありがとうございます。 ブログを書く(セミナーをやる)モチベーションにしたいと思います。 masakazu-kobayashi.hatenablog.com さて今回は、 原告Xの特許権1、2を侵害するY社製造の製品がZ…

特許実務 - 進歩性の基本的考え方(プレゼン資料)【全くの私見】

Inventive Step in Japan from MasakazuKobayashi13 www.slideshare.net はじめに 予告しましたように、進歩性に関するプレゼン資料(進歩性の基本的考え方【私見】)をアップしてみました。 作成した経緯 私は、特許審査官を7年半やって、その後、知財系の…

特許実務 - 特許法・実用新案法と実務(プレゼン資料)

Patent, utility model and the practice from MasakazuKobayashi13 www.slideshare.net はじめに 久しぶりのブログですね。 この最近は、知財関連のプレゼンを行うことが多くて、スライドをブログで共有したいなぁと思っていたところ、ツールを発見したので…

数値限定発明・パラメータ発明(その1)

はじめに ブログを再開しましたが、知財関係の記事としては、数値限定発明・パラメータ発明について、連載記事を始めてみたいと思います。 数値限定発明・パラメータ発明について これまでは、「進歩性」という、おどろおどろしいテーマで記事を書いていまし…

特許実務-進歩性の基本的考え方(ケース3)

ケーススタディ3 はじめに 今回は、進歩性の基本的考え方のうち、ケーススタディ3を記事にしたいと思います。 進歩性の基本的考え方の本文とは別に、演習問題的なケーススタディも並行して記事にしています。 これまでのケーススタディは、下記記事のとお…

特許実務-進歩性の基本的考え方(ケース1)

ケーススタディ1 はじめに これまで、13回にわたって、進歩性の基本的考え方について記事にしてきました。 論理付けやら、本件発明の課題、効果など、進歩性の文脈で問題となるトピックについて説明してきました。 これからも暫くは続けていく予定なので…

進歩性の基本的考え方(13)【技術的思想ないし技術思想】

技術的思想(技術思想) ※私見(諸説あり) はじめに 今回は、進歩性の基本的考え方(13)として、技術的思想(技術思想)をテーマにしたいと思います。 技術的思想(技術思想)の意義 進歩性判断の文脈でも、裁判例などで、時々「公知文献は、特許発明と…

特許実務-進歩性の基本的考え方(3)

論より証拠(証拠>>>論理) はじめに 前2回の進歩性の基本的考え方(1)、(2)では、進歩性の性質について、ご説明しました。 masakazu-kobayashi.hatenablog.com masakazu-kobayashi.hatenablog.com masakazu-kobayashi.hatenablog.com 今回は、進歩…

特許実務-進歩性の基本的考え方(2)

進歩性の性質(続き) はじめに 今回は、進歩性の基本的考え方(2)です。 masakazu-kobayashi.hatenablog.com masakazu-kobayashi.hatenablog.com 前回の続きで、進歩性の性質についてです。 1.進歩性の判断に真理(絶対的正解)はない。 前回の進歩性の…

特許実務-進歩性の基本的考え方(1)

進歩性の考え方 はじめに 前回予告しましたように、元審査官、弁護士・弁理士の立場から、進歩性の基本的考え方について、記事にすることにしました。 masakazu-kobayashi.hatenablog.com トピックとしては、以下のものを考えています。 進歩性の基本的考え…

宇宙醸造(宇宙×ビール×特許)

はじめに 私のブログのタイトルは、「理系弁護士、特許×ビール×宇宙×刑事」なわけですが、「宇宙」の話題が全然出てきていませんでした・・・。 以前の下記記事は、数か月前のものになってしまっています。 masakazu-kobayashi.hatenablog.com masakazu-koba…

特許実務-企業と大学との共同研究契約

はじめに 今回は、企業と大学との共同研究契約において、よく問題となる点について、記事にしたいと思います。 特許権等の帰属 共同研究の過程において、発明等が創作された場合、特許を受ける権利等は、理論的には、①企業の単独、②大学の単独、あるいは、③…

特許入門21-発明をしてみよう(発明の発掘・創出)

はじめに 最近、「特許実務」記事ばかりで、やや実務的、専門的に過ぎたので、久しぶりに、「特許入門」記事を書いてみようと思います。 テーマは、「発明の発掘・創出」です。 発明の発掘・創出 発明といっても、「エジソンなどの凄い人でないと発明なんて…

特許実務-特許保証規定がない!

はじめに 前2回に分けて、間接侵害と特許保証について説明しました。 masakazu-kobayashi.hatenablog.com masakazu-kobayashi.hatenablog.com 具体的には、ある会社が、他社へ部品を供給したり、他社から供給を受けたりする場合で、自社での特許クリアラン…

特許実務-間接侵害と特許保証(その1)

はじめに これまで全4回にわたり、間接侵害と特許クリアランス(その1)~(その4)というタイトルで、判断が難しい間接侵害(複数主体による特許発明の実施の場合を含む)について、特許クリアランスの観点から、重要なポイントを解説しました。 masakaz…

特許実務-間接侵害と特許クリアランス(その4)

間接侵害(発明の一部実施を含む)の特許クリアランス はじめに これまで3回にわたり、下記の記事で、間接侵害(発明の一部を実施する場合を含む。)と特許クリアランスについて書きました。 3回の説明で、ちょっとごちゃごちゃしてしまったので、今回は、…

特許実務-間接侵害と特許クリアランス(その3)

はじめに 下記2つの記事で、前2回にわたって、間接侵害の特許クリアランスについて説明しました。 masakazu-kobayashi.hatenablog.com masakazu-kobayashi.hatenablog.com 今回は、これに関連して、物ないし方法の発明の一部を実施したに過ぎない場合でも…

特許実務-間接侵害と特許クリアランス(その2)

はじめに 前回の記事では、間接侵害と特許クリアランスというタイトルで、物の発明についての間接侵害リスクのポイントを解説しました。 masakazu-kobayashi.hatenablog.com 今回は、その2回目で、方法の発明について取り上げたいと思います。 方法の発明 …

特許実務-間接侵害と特許クリアランス(その1)

はじめに 今回から、間接侵害等が問題となり得る部品・部材・モジュール・材料等についての、特許クリアランスに関する記事を書きたいと思います。 特許クリアランスというのは、企業などが、自社の製品が他社の特許権を侵害していないかを事前に確認・検証…

特許実務-進歩性について考える(その7)1個を2個にすることは容易か?(続き)

はじめに 前回は、(スラスタ1個を有する移動体である)1つの引用発明のみに基づいて、(スラスタ2個を有する移動体である)本件発明を容易に想到し得るか、について検討しました。 masakazu-kobayashi.hatenablog.com 今回は、(それぞれ、スラスタ1個…

特許実務-進歩性について考える(その6)1個を2個にすることは容易か?

Painting (Formerly Machine) (1916) Morton Livingston Schamberg はじめに 「進歩性について考える」の第3回、第4回(下記記事)では、進歩性判断の事例として、主引用発明(スラスタ2個の移動体)のみに基づいて、スラスタを(2個から)3個にするこ…

特許実務-進歩性について考える(その5)主引用発明+副引用発明

Painting (Formerly Machine) (1916) Morton Livingston Schamberg はじめに 進歩性に関する下記の第1回、第2回の記事では、進歩性を考えるための前提事項(総論)をご説明しました。 masakazu-kobayashi.hatenablog.com masakazu-kobayashi.hatenablog.co…