はじめに
最近、「特許実務」記事ばかりで、やや実務的、専門的に過ぎたので、久しぶりに、「特許入門」記事を書いてみようと思います。
テーマは、「発明の発掘・創出」です。
発明の発掘・創出
発明といっても、「エジソンなどの凄い人でないと発明なんてできない!」というわけではありません。
以前に、下記記事で、小学生が発明をして特許をとったという記事も書きました。
masakazu-kobayashi.hatenablog.com
巷の発明は、一から何か画期的なものを発明したというよりは、圧倒的に、既存の物を改良したという発明がほとんどです。
画期的な発明で、世の中が一気に進歩するというよりは、そうした改良発明の積み重ねで、技術が日々進歩しているというイメージです。
ちょっとしたアイデアで、特許とれます!
「必要は発明の母」
と言いますが、「必要」→「発明」(課題→具現化)へはどのような要素で実現していくのか、というのはなかなか分かりません。
私は、7年半くらい特許庁の審査官(機械分野)をしていましたので、たくさんの発明(ほとんどが改良発明)を見てきました。
そこで、どのように発明が生まれてくるのか、という共通項的なものが私の頭の中にあるのですが、それをちょっと具体化してみたいと思います。
機械(構造)・電気分野に共通するアイデア
(1)従来、別体だったものを一体化する、あるいは、逆に、一体だったものを別体化する。 例)鉛筆付き消しゴム
(2)従来、2つの機能を別々のものが担っていたが、1つもので(2つの機能)兼用する。 例)カメラ付き携帯(従来、携帯とカメラは別物でしたが、一体化され、
コンパクト・カメラのシェアが奪われましたよね。
(3)コンパクト化・小型化する。
例)日々、様々なものが小型化しています。
(2)の兼用アイデアは、小型化に繋がりますね。
(4)従来、「単体」孤立であったものを、「複数」連携・連動にする。
例)最近のみんなでやるゲームもそうですし、IoTもそうでしょうか。
(5)従来、スタンド・アローンだったものに、(GPSなど)通信機能を付ける。
例)カーナビから、カーナビ・アプリへ。
(6)時代ごとの要請(テーマ)に、それぞれの技術分野で対応する。
例)大地震のときは安全技術、今年でいえば遠隔とか非接触とかですね。
最近も、「手で触らなくても〇〇できる」といったアイデアが
生まれていますね。まさに「必要は発明の母」です。
(7)そのものの既存の概念を覆すことを考える。
例)従来、板状だったスマホを、折り畳めるようにしたものとか、
空飛ぶ自動車とか(従来は道路を走っていた)。
空飛ぶ自動車は、(2)の兼用アイデアでもありますね。
既存の技術を、他の技術分野へ適用する、他の技術分野から導入する。
断面六角形鉛筆の発明から、(六角形のゴム付きの)マイクへの適用例は、以前に記事にしました。
masakazu-kobayashi.hatenablog.com
前述した(1)一体⇔別体のアイデアも使っていますね。
最後に
ぱっと思いついたものを挙げましたが、まだまだあるかもしれません。
① 「一体⇔別体」アイデア、
② 兼用アイデア、
③ 小型化アイデア、
④ 「単→複」(連携・連動)アイデア、
⑤ 通信機能アイデア、
⑥ 時代の要請アイデア、
⑦ 既存の概念を覆すアイデア
皆様も、(技術者に限らず、)自分が携わっている分野で、上記のアイデアで、何か発明をしてみましょう!
特許出願される際は、言ってくださいね(笑)。