理系弁護士、特許×ビール×宇宙×刑事

理系弁護士・弁理士。特許、知財、宇宙、ビール、刑事事件がテーマです。

特許実務

特許入門15(要件事実)

はじめに 特許入門として、前回の続きとして、今回は、特許権侵害訴訟の要件事実についてご説明したいと思います。 前回は、下記の記事で、特許法における用語・概念、条文について説明しました。 特許、特許権、特許発明の用語の使い分けなどです。 masakaz…

特許実務-出願か秘匿か

出願か、秘匿か はじめに 今回は、発明が生まれたときに、これを出願するか、出願せずにノウハウとして秘匿するかの判断基準等について、ご説明したいと思います。 出願すべきか秘匿すべきか 発明をした際に、これを全て出願していて頂ければ、特許業界も再…

特許実務-管轄(特許権侵害訴訟の第一審)

はじめに 今回は、特許権侵害訴訟の第一審の管轄についてご説明したいと思います。 特許権侵害訴訴訟の第一審の管轄 結論から言うと、大阪地裁か東京地裁です。この2つの地裁が専属管轄になります。 これは、実は、特許法に規定されているのではなくて、民…

特許実務-審査官、審判官、裁判官の違い

審査官、審判官、裁判官の違い はじめに 今回は、特許権に関する判断者である、特許審査官、特許審判官、(知財部の)裁判官の違いについて説明したいと思います。 特許審査官 特許審査官は、行政処分(特許査定、拒絶査定)をする行政官(行政庁)です。 行…

特許実務-他社特許対応

はじめに 今回は、私の外部セミナーでよく扱う他社特許対応について説明したいと思います。 厳密には、特許という用語は、審査官等がする行政処分なので、他社特許権対応か他社特許発明対応でしょうか。 昔の下記記事を見たら、特許、特許権、特許発明の用語…

特許実務-実施料支払請求訴訟(勝訴!)

はじめに 久しぶりに、自分が主担当だった特許関連事件で勝訴判決でしたので、ちょっと紹介したいと思います。 令和2年(ネ)10008号・令和2年7月9日知財高裁第1部判決[高部裁判長] https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/574/089574_ha…

特許実務-発明報償金の辞退の撤回

はじめに 今回は、発明者(従業員)が、発明報償金の辞退(放棄の意思表示)をした後に、それを撤回する場合について検討したいと思います。 前回の下記記事(発明報償金の辞退)の続きです。 masakazu-kobayashi.hatenablog.com 発明報償金の辞退(放棄の意…

特許実務(ウェットティッシュ事件3 + Cu-Ni-Si系合金事件)

被告製品 はじめに 前々回から、「特許実務」のタイトルで、私が興味を持った裁判例(平成29年(ワ)第28189号 令和2年1月17日 東京地裁40部判決[佐藤裁判長])を紹介しています(https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/418/089418_h…

特許実務(ウェットティッシュ事件2-「略1/2の幅」について)

被告製品の構成 はじめに 前回から、「特許実務」のタイトルで、私が勝手に興味を持った裁判例(平成29年(ワ)第28189号 令和2年1月17日 東京地裁40部判決[佐藤裁判長])を紹介しています(https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/41…

特許実務(ウェットティッシュ事件1-「略(ほぼ)」について)

1 本件特許発明(判決文より引用) はじめに 今回は、「特許実務」のタイトルで、 下記の特許権侵害差止等請求事件の判決を紹介したいと思います。 平成29年(ワ)第28189号(令和2年1月17日東京地裁40部判決[佐藤裁判長]https://www.courts…

特許実務(特許権侵害訴訟で、17条決定)

はじめに 特許権侵害訴訟が提起した場合、通常は、判決(勝訴、敗訴)で終わるか、和解で終わります。 しかし、今回は、特許権侵害訴訟を提起したものの、その事件が調停に付され(付調停)、最終的に、民事調停法17条に基づく決定(調停に代わる決定ない…

特許実務-発明報償金の辞退

はじめに これまで、(既存の教科書とは違う視点で)「特許入門」というタイトルで記事を書いてきたつもりです。 実際の特許実務では、教科書や本に明確に答えが書いていない論点に出くわして、色々悩みます。今後は、このような論点を「特許実務」で取り扱…