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刑事事件と病

はじめに

 

  今回は、刑事事件と病について記事にしたいと思います。

 

被疑者・被告人の病気について確認

 

 弁護士が、勾留されている被疑者・被告人に初回接見(=初めての面会)に行き、被疑者・被告人に確認したり、忠告する事柄は、弁護マニュアルなどによく書かれているのですが(黙秘権の告知やら何やら)、被疑者・被告人の持病や体調に関する質問は、事件内容とは直接関係がないことが多いことから、忘れがちな場合があります

 

 私の場合は、初回の接見(=面会)の際は、被疑者が持病があるかどうかを必ず確認しますし、その後の面会の度にも、体調が悪くなっていないかを必ず聞くようにしています。

 

留置施設は、劣悪で過酷な環境

 

 私自身は、留置施設・拘置所に入ったことがないのですが(体験入所があれば、勉強のために、是非入ってみたいです。)、環境が劣悪で過酷なことは、被疑者・被告人から伺った話で容易に想像できます。

 

 ですので、たとえ健康な人であっても、体調が悪くなってしまって当然な環境です。

 

 特に、否認事件(罪を犯していないと争う事件)の場合は、そのような劣悪な環境に長期間勾留されることが多く、被疑者は精神的にも肉体的にも疲労が蓄積し、その結果、犯罪をやってもいないのに、自白すれば釈放されると考えてしまい、安易に虚偽の自白してしまうこともあります。

 

 ですので、この劣悪な環境に耐え、否認事件として裁判で争うためには、被疑者の健康状態に十分に留意する必要があるのです。

 

治療を受ける権利

 

 たとえ、勾留されている場合であっても、被疑者・被告人が病気であったり、体調が悪かったりするときは、病院に連れて行ってもらい、薬を処方してもらう必要があります。

 

 私もよく、警察の留置施設で、

 

「被疑者が、風邪のようなので、病院に連れて行って欲しい。」

 

とお願いすることが多いです。

 

 余談ですが、昔、ある警察署に、被疑者に接見(=面会)に行った際に、被疑者である中国人の女性が、

 

 「お腹が痛い。警察官に言っても、聞き入れてくれない。」

 

と訴えており、本当にすごく体調が悪そうでした。外国人のため警察官に言葉が通じないということもあって、精神的にも滅入っていました。

 

 そこで、私は、接見(=面会)終了後に、警察官に、

 

 「彼女は、お腹が痛いそうです。医者に診てもらうように手配してもらえませんか。」

 

とお願いしたところ、ある女性の警察官が、何と・・・鼻で笑ったのです。

 ほんとさ、確かに聞いたーんだ。

 

 その後、私どうしたでしょう?

 

・・・

 

・・・

 

・・・

 

 私、2、3年ぶりに、ブチ切れました。その女性警察官を詰問し、どなりちらしました。そして、近くにいた警察官5人くらいに囲まれてしまいました(笑)。

 もちろん、真の意味で切れたわけではありません。ある種パフォーマンスです。

 

 いや、しかし、そうは言っても、その女性警察官、常識感覚鈍りすぎでしょ。その女性警察官は、今後、一般常識的な感覚を取り戻さないと大変な人間になってしまいますね。

 

 普段物腰柔らかな私が突然切れたので、通訳の方はビックリしてました(笑)。

 警察を出てから、ちゃんとパフォーマンスだって伝えましたが。

 

保釈の際

 

 保釈の際に、被告人が病を患っていることには触れるようにし、特に重い病気の場合には、留置施設ではなく、ちゃんとした病院で治療するために、保釈が認められるべきだと主張することも結構あります。医師の診断書を添えることも多いです。

 

 保釈許可決定には具体的な理由が記載されるわけではないのですが、経験上、重い病気でなかったら、保釈が認められなかったであろう事案でも、保釈が認められることが結構あるように思います。

 

コロナ

 

 最近は、コロナの影響で、被疑者・被告人が少しでも熱があると、警察はすぐに、病院に連れて行き、被疑者・被告人にPCR検査、抗体検査を受けさせるようです。

 

 ちなみに、私も知りませんでしたが、最近は、PCR検査の結果も、抗体検査の結果も、即日で出るのですね。

 

 既に、いくつかの警察署や拘置所でコロナが発生してしまっていますが、今後もクラスターが発生してしまったら大変なことですから、警察も極めて慎重な態勢で対応しているようです。まぁ、良いことですよね。

 

 最近は、事前に連絡せずに、警察署に面会に行くと、

 

 「実は先生、被疑者が熱があって、病院で検査をしており、いつ戻るか分からないのです。」

 

と言われ、面会できなかったことがあります。

 

 また、面会の際も、ドラマのイメージのように、弁護士と被疑者・被告人との間にアクリル板があって、真ん中くらいに小さい空気穴がたくさん開いていたりするのですが、コロナ対策でビニールで閉じてある警察署もあります。でも、閉じてない警察署もありますが・・・。

 警察署によって対応が結構違うように思います。

 

結核

 

 最近はもっぱらコロナですが、昔から、時々、「実は、被疑者・被告人は結核でして・・・。」とうことがあります。

 

 結核は、空気感染、飛沫感染するようですので、面会の際も十分に注意しないと行けません。

 

最後に

 

 勾留されている状況では、

 

 ① 被疑者・被告人が病気や体調不良の際は、きちんと医師の治療を受けられるようにし、

 

 ② 特に、被疑者・被告人が特殊な病気や重い病気の場合には、早急に釈放、あるいは、保釈が認めれるように頑張り、また、

 

 ③ 被疑者・被告人が結核であったり、コロナの可能性がある場合には、決して面会室を経由して私へ感染しないよう、

 

いつも万全な状態で活動しています。

 

 いろいろと疲れますけどね。警察も本当にご苦労様だと思います。

 

 

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