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刑事事件-地裁で保釈許可決定!

はじめに 

 

昨日、私が担当している地裁(第一審)の刑事事件で、無事、保釈許可決定が出ました。

 

下記記事でご紹介したように、8月7日に、高裁で保釈許可決定をもらっていますので、今月2回目です。調子良いですね。

 

masakazu-kobayashi.hatenablog.com

 

別に私の刑事弁護人としての能力が上がっているわけではなく、数年前からやっていることは同じです。

 

でも、最近は、保釈が認められやすくなったような気がします。

 

事案

 

現在、担当中なので、詳しくは書けませんが、被告人は日本人で、薬物事犯の自白事件です

 

保釈の準備

 

保釈請求は、起訴されたときから、することができます。

起訴前は、保釈請求はできません。勾留取消の制度はありますが、あまり認められません。

 

勾留決定された後、被疑者段階から、本件を担当しました。

芸能人の事件の報道でもご存じかと思いますが、薬物事犯は初犯でも起訴されるのが通常です

 

起訴される日は予め分かりますので、その日に向けて、保釈請求書と添付資料を準備します。

 

保釈請求書の内容を裏付けるための添付資料としては、

 

被告人の誓約書

 内容としては、罪を認めて反省し、(本件で言えば)薬物の入手ルートなどを捜査機関に供述していること、逃亡しないこと、罪証隠滅しないこと、勾留が長引くと仕事に影響があること、持病があればその内容)

 

身元引受書

 家族(妻、両親や、子ども、兄弟、雇用先の上司等)

 

雇用主が、保釈後の被告人の雇用を約束する旨の誓約書

 雇用主から頂いたりします。

 

診断書

 持病がある場合など

 

などなどで、起訴日までに頑張って修習します。

 

保釈請求書の提出とその後の流れ

 

起訴日の夕方ごろ、検察庁から裁判所に起訴状が届くそうですので、それを電話で確認し、夕方に、(東京地裁でいえば、)令状部に、保釈請求書&添付資料を提出します。

 

すぐに対応できるように、保釈請求書に、自分の携帯の番号を記入しておきます。

 

今回の場合、火曜日の夕方に請求書を出したのですが、水曜日は音沙汰なく、木曜日の午前中に、保釈許可決定が出た旨の電話を受けました

 

もっと早く、判断して欲しいですね。先にご紹介した高裁の場合は、保釈請求してから数時間で保釈許可決定が出ました。

 

裁判所は、弁護人からの保釈請求に対して、検察官に意見を求めなければいけないので(求意見)、その往復に、ある程度時間がかかってしまうのでしょうが、それでも、勾留というのは、人の身体の自由への重大な制約なわけですからね。

 

せめて、翌日までには判断が欲しいところです。

 

保釈許可決定の内容

 

保釈許可決定の内容は、だいたい一緒で、

 

① 住居の制限に住むこと。引っ越すときは許可を得ること、

② 裁判所にはちゃんと出頭すること、

③ 逃げない、証拠隠滅しないこと、

④ 3日以上の旅行や海外旅行の際は、裁判所の許可を得ること、

⑤ 裁判所からの召喚状等はちゃんと速やかに受け取ること

 

です。

 

保釈金は、150万円でした。保釈金の相場は150万円~ですので、ほぼ最低額でした。

私の場合、保釈請求書に、保釈金を幾らにしてしてくださいと具体的に書きます。

 

昔、別件で、試しに、保釈金を「120万円にしてください。」と書いてみたのですが、裁判官との面接で、「保釈金は、まぁ、150万円でよろしいですね。」と言われ、(特に反論する材料もなく、)減額は認められなかったことがありました。

 

特に、経済的な事情等があれば、もしかしたら、150万円以下でも認められるのかもしれません。

 

保釈金の納付

 

家族の協力して頂き、昼過ぎに地裁で保釈金を納付し、その日のうちに釈放されます。

 

なお、保釈金の返還の際には、私の口座から家族への送金が面倒なので、家族の口座に直接返還して欲しいのですが、やっぱりダメ(弁護人の口座に返還)だと言われてしまいます。

すごく嫌なので、保釈金の納付のたびに、裁判所の担当者に同じ要求をします(認められませんが)。

 

私選の場合は、成功報酬の確保のために、弁護人の口座を通した方が良いのかもしれませんが、国選の場合は関係ないので、正直なところ、自分の預り金口座を通したくありません。

 

まとめ

 

・最近、保釈が認められやすくなった気がします。

・弁護人は、起訴日に向けて、保釈請求の準備(特に、添付資料の収集)を頑張ります。

・保釈請求してから認められるまで、数時間のこともあれば、2、3日かかることもあります。

・保釈金は、普通、150万円~です。

・保釈金の返還は、弁護人の口座にされるので、それを被告人の家族に送金するのが面倒です。

 

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