刑事事件-高裁で保釈許可決定!
はじめに
本日、高等裁判所に係属中の刑事事件で、保釈許可決定が出ました。
最近は、第一審では、昔よりは保釈許可決定が出るようになってきたように感じますが、控訴審(高裁)では、第一審判決が実刑判決であることが前提なので、なかなか保釈を認めてもらえません。
しかし、本件は、幸い、うまく行きました。
今回は、高裁での保釈についてご説明したいと思います。
保釈の要件と保釈までの流れ
第一審判決が実刑判決となってしまうと、第一審で保釈されていても、再び、拘置所に収監されてしまいます。
この場合、第一審の実刑判決に対して、控訴(不服申し立て)をし、すぐに、再保釈請求をすることができます。
今回の件は、国選事件で、控訴審から受任しましたので、これまでの裁判記録を確認後、すぐに、①身元引受書(身元引受人の方が、被告人が保釈された際には監督する旨の書面)、②被告人ご本人の誓約書(逃亡しない、裁判に出頭する旨の誓約をした書面)、その他の疎明資料をかき集めて、なるべく早く保釈請求をします。
今回は、被告人と接見(面接)してからすぐに準備をし、今日が金曜日で3連休ということもあり、今日午後2時頃、何とか、保釈請求書と疎明資料を提出しました。
しかし、控訴審での再保釈は、第一審とは異なり、権利保釈(一定の事由に該当しなければ保釈を認めなければならない)が認められず、裁量保釈(裁判所の裁量で保釈を認めてもらう)しかありません。
もっとも、保釈請求書でも、①逃亡のおそれなし、②罪証隠滅のおそれなし、③勾留の必要性なし(むしろ保釈すべき事由があること)等を主張し、その根拠を疎明資料で立証します。
保釈決定!
保釈請求をして、2時間も経たないうちに、裁判所から電話がありました。
「まだ、保釈決定というわけでもないし、仮に、保釈を認めるとして保釈金がいくらになるかもわかりませんが、保釈金をたとえば、本日準備は可能でしょうか。」
という内容です。
これは脈ありです。
普通、保釈を認めない場合は、何も連絡がなく、いきなり保釈却下決定がされるのが通常だからです。
そして夕方5時過ぎに、保釈許可決定が出ました。請求からわずか3時間で!
いつもは文句ばかり言っていますが、今回は、さすが高等裁判所すごい、大変有難いです。
検察官が不服申し立てをしないことを心から祈ります。
保釈金の額について
保釈金の相場は、第一審では、だいたい150万円~です。
芸能人だと、数百万円、数千万円の保釈金で、よくテレビで報道されてますよね。
そして、控訴審の場合は、第一審の1.5倍が相場だと言われています。
したがって、一般の方だと、225万円~という感じです。
今回の事件は、係属中なので事件の内容は一切伏せますが、第一審の保釈金が300万円でしたので、1.5倍にされると、450万円になってしまい、これは、ちょっと高額過ぎます。
保釈請求では、一審の300万円に50万円だけ上乗せした350万円で裁判所にお願いしたのですが、無事、350万円で許可が出ました。と言っても、高額ではありますが。
最後に
現在の司法は、人を簡単に勾留してしまうのです。
下の記事でも触れました。
masakazu-kobayashi.hatenablog.com
でも、最近、徐々に、検察官の勾留請求を裁判所が認められなかったり、勾留されても、(起訴後ですが)保釈が認められる割合が上がってきたように思います。
そもそも、勾留はもっと厳格な要件でしか認めるべきではありませんが、それとともに、もっと保釈が認められるようになって欲しいと思っています。