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刑事事件-再逮捕・再勾留からの起訴

 

はじめに

 

 刑事事件の手続きは慣れてるかなぁと思っていましたが、たまにイレギュラーな件がくると、そもそも正しい手続きを知らなかったり、忘れてしまっていることもあります。調べたりしても分からないこともあります。

 

 今回は、備忘録として、再逮捕・再勾留からの起訴について、記事にしたいと思います。内容に自身がないので、間違っていたことが分かったら、後日、修正するつもりです。

 

再逮捕

 

 再逮捕(・再勾留)というのは、既に一度逮捕・勾留されていた被疑者が釈放された後に、再び、逮捕・勾留されることです。

 

 原則として、1つの事件で、逮捕・勾留されるのは一度限りですので、同じ事件で再逮捕・再勾留はありませんが、別件(余罪)があるとこのような再逮捕が発生します。

 

 たとえば、最初、ある被害者に対する1件の特殊詐欺(詐欺罪ないし電子計算機使用詐欺)で逮捕・勾留され、20日満期まで勾留された後、処分保留で釈放され、もう1件の別の被害者に対する特殊詐欺で、再び、逮捕・勾留されるような場合です。

 

 通常の被疑者勾留の場合ですと、被疑者段階で、逮捕期間(最大で3日)+勾留期間(最大で20日)で、最大で23日間身柄が拘束されます。

 通常は、その後、起訴され、起訴後勾留となり、裁判が始まります。

 

 しかし、20日目の満期に再逮捕となってしまうと、更に、逮捕期間(最大で3日)+勾留期間(最大で20日)で、合計、最大で46日間身柄が拘束されます

 そして、起訴されると、裁判に向けて、更に起訴後勾留が続きます。実刑だとそのまま服役ですね。

 

 なぜ、最初っから2件について、逮捕・勾留しないの?という疑問が沸きますが、最初の逮捕の時点で、2件が分かっていればそれも可能ですが、1件目の捜査中に別件(余罪)が判明するとこのような事態になります。

 

 というか、最初っから2件目もある程度判明していたとしても、捜査機関としては、捜査をする期間(被疑者を勾留しておく期間)を倍に延ばせるので、再逮捕という手段をとることがあります。んー。

 

 本件のような特殊詐欺の場合、たとえば、受け子の場合、いったい自分が何件の(被害者に対する)詐欺事件に関与しているか、自分でも把握していない場合が多いかもしれません。そして、実際には、何件もの(被害者に対する)詐欺事件に関与してしまっています。

 

 結果、1月半もの間、被疑者勾留が続いた上で、2件について、起訴されてしまいます。

 

国選の場合の手続(注意)

 

 国選の場合、手続きが面倒なので、ちょっと備忘録として残します。

 

 国選事件の場合ですが、まず、再逮捕の場合は、1件目が形式的に処分保留・釈放となりますので、1件目の国選事件は任務終了となります

 

 もっとも、自分が担当していた被疑者について、再逮捕がなされたわけなので、通常は、引き続き担当することが望ましいと思われます。

 

 その場合、法テラスに要望書(再逮捕につき、再び国選担当を要望する旨の書面)を提出します

 

  ところで、以前に、国選事件について、控訴審を担当した場合に、上告審でも引き続き担当することができるか、という記事を書きましたが、これは認められないことが多いそうです(私の場合、現段階で、まだ連絡がありません)。

 

masakazu-kobayashi.hatenablog.com

 

 しかし、再逮捕の場合は、通常認められるようです。現に認められました。

 

【ここの内容がちょっと自信がありませんが】

 次に、46日を経て2件分が起訴される場合ですが、検察官は、1件目を形式的に処分保留・釈放にしているので、1件目と2件目とを併せて起訴をする場合は、現時点での被疑者段階の勾留の理由(2件目)と被告人段階(1件目+2件目)とで事件が同一ではないため、(1件目についても被告人勾留を裁判所に請求するということで)求令状起訴ということになり、この場合は、(2件目の20日目の満期に)裁判官による勾留質問が行われ、被告人勾留とになります。

 

 通常は、国選事件で、被疑者段階を担当した場合には、被疑者が起訴され、被告人となった場合でも、自動的に、被告人段階も自動的に担当となります

 

 しかし、求令状起訴の場合には、自動的に担当にならないようで、ここでも、再び、法テラスに対し、要望書(求令状起訴ですが、これまで被疑者を担当してきましたので、起訴されて被告人になっても、引き続き、担当することを希望します。)を提出する必要があります

 

 ここでも、通常は、引き続きの担当は認められると思います。

 

最後に

 

 特殊詐欺事件のような場合は、1件だけということは稀なので、結構、再逮捕・再勾留が多いようです。

 結果として、終結まで長期間勾留されることになりますし、しかも、示談でもできない限り、長期間の実刑になりますので、詐欺に関わることは止めましょう。

 

 特殊詐欺については、以前の記事で詳しく書きました。

 

masakazu-kobayashi.hatenablog.com

 

 また、国選事件の場合は、担当弁護人としては、再逮捕の場合や、求令状起訴の場合は、法テラスに要望書を都度出さなければいけないようなので、気を付けましょう。私も、忘れてしまいそうなので、備忘録として記事に残すことにしました。

 

 前述の求令状起訴のところは自信がないので、詳しい方がいらっしゃったら教えてください。

 

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