理系弁護士、特許×ビール×宇宙×刑事

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特許入門1(特許法とは?)

 

AB:「どうもー。〇〇〇〇〇〇です。お願いしま~す。」

B:「あー、ありがとうございますぅ~~~、ね、今、『特許出願中のアベノマスクの使い終わった方』を頂きましたけどもね~。」

AB:「ありがとうございます。」

B:「こんなん、なんぼあってもいいですからね。ほんと、ありがたいですよ。言うとりますけどもね。」

 

A:「うちのおかんがね、最近興味のある法律があるらしいんやけど。その名前をちょっと忘れてしもたらしくてね。」

B:「興味のある法律の名前忘れてしもたって、いったいどうなってんねん、それ。おかんが興味のある法律なんて、どうせ、『新型コロナ特措法』*か、『検察庁法』くらいのもんやろ。」新型インフルエンザ等対策特別措置法

A:「それが、違うらしいんやね。いろいろ聞くけんやけどもな、わからへんのやな。」

B:「えーわからへんの。ほな、いっしょに考えてあげるから、おかんがどんな特徴言うとったか教えてみてよ。」

 

A: 「その法律によれば、おかんが思いつきで創った部屋の隅っこを上手に掃除する『お掃除棒』の権利がとれるらしいねんな。」

B:「そりゃ、特許法やないか。その特徴はもう、特許法や。特許法は、おかんの創った『お掃除棒』なんかの発明を保護して、ほかの人にもその発明を利用をしてもらって、発明を奨励して、産業の発達に貢献するためのもんなんやから。」特許法の目的(特許法1条)

 

A:「特許法な。俺もそう思たんやけどな。わからへんねやな。」

B: 「なにがわからへんの。特許法やん。」

A:「おかんが言うにはな、その法律でとる権利は、出願とかせんでも、自動的に発生する、っていうんや。」

B:「ほな、特許法と違うか~。特許権っていうのは、著作権とかと違って、真っ先に出願して、審査官に審査してもらって、特許査定してもらって、登録されて、初めて権利になるからな。」※先願主義(特許法39条)、審査主義(特許法48条の3)

 

B:「ほな、別の特徴なんか、言うてなかったか。」

A:「おかんが言うには、『お掃除棒』の発明の内容は、世間に公開されるらしいんや。」

B:「特許法やないか。特許出願から1年6月が経過したら公開されるんやからな。公開と引き換えに、特許権という独占権が付与されるんやから。」※公開代償説(判例)、出願公開(特許法64条

B:「でも、俺はな、公開制度というのは、発明者に『俺は、1年6月も前に、こんな凄いもん発明してたんやでぇ。凄いやろ。』って自慢させることで、自尊心をくすぐって、調子に乗らせて、もっと良い発明させるための制度やと踏んでるんや。俺の目はごまかされへんで。そんなんもう、特許法に決まりや。」

 

A:「でもな、わからへんねやな。」

B:「なんでわからへんの。特許法に決まりや。」

 

A:「おかんが言うにはな、その法律を専門で扱っている弁護士は、軽く1億以上稼ぐ、言うんやな。」

B:「ほな、特許法と違うか~。日本では、特許紛争でもアメリカの弁護士みたいには稼げへんねんやから。特許紛争で有名な小林弁護士も、特許では大して稼げへんから言うて大して稼げへん刑事事件もいっぱいやってんねやから。それでもまだ稼げてへんけども。」

 

B:「おかん、ほか、なんか言うてなかったか。」

A:「おかんが言うにはな、その法律で、せっかく『特許』査定してもらっても、あとでその『特許』が無効になる可能性もあるらしいねんな。」

B:「特許法やないか。2回も『特許』言うてもうとるやないか。特許権なんてもんは、特許無効審判で特許無効にされたら、はじめから存在しなかったことにされてしまう可能性のある博打みたいな権利なんやから。もう特許法に決まりや。おかんが興味のある法律は特許法!」※特許無効審判(特許法123条)、特許法125条

 

A:「でもなぁ、おかんが言うには、その法律は、法学部の学生とが最初に勉強する基本的な法らしいんねんな。」

B:「ほな、特許法と違うやないか。特許法は、民法とか民事訴訟法とか行政法とかの特別法なんやから、そういう基本的な法律の勉強をしてからやないと、分けわからんことになるんやから。理系の人が弁理士試験のために勉強する最初の法律が特許法やから、頭おかしなるねんから。最後にはうんざりして、受験生はみんな、『イヤヨ、イヤヨ』*って言うてまうんやから。」特許法184条の3以下

 

B:「ほか、なんか言うてなかったか?」

A:「その法律で、日本で権利とっても、他の国でも使えへんっていうねんな。」

B:「特許法やないか。特許権は日本でとったとしても、他の国ではその国で権利を取らんと権利行使できへんねやから。なんなら、ボビーにナイジェリアで『お掃除棒』を無断で使われへんように、ナイジェリアでも『お掃除棒』の特許権を取らなあかんねんから。」属地主義

B:「おかんの興味がある法律は、特許法!決まりや。」 

 

A:「おとんが言うにはな。」

B:「おとんが?」

A:「『軽犯罪法』ちがうか、言うんやけどな。」

B:「絶対違うわ。もうええわ。」

AB:「どうもありがとうございました!!!」