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刑事事件 - 被害者側の代理人としての弁護士

はじめに

 

 刑事事件の弁護士と言えば、被疑者・被告人の代理をする「刑事弁護人」がメイン

ですが、その一方で、犯罪被害者を代理して、活動することもあります

 

 最近、頼まれて犯罪被害者側の示談交渉をしましたので、ふと本記事を書こうと

思いました。

 

 今回は、示談交渉に限らず、犯罪被害者側に立った場合の弁護士の仕事をご紹介したいと思います。

 

被害者側の弁護士の役割

 

(1)被害者の代理として、被害届や告訴状を出すこと

   もちろん、被害者ご本人が、警察署等で被害届や告訴状を出すことができます。

   ただし、警察署に行って、告訴状を出そうとしたが、渋られた、あるいは、

  受け取ってもらえなかった、相手にされなかったなどは、よくあることです。

   警察も結構忙しかったりしますからね。

    そのような場合でも、弁護士が代理することで、比較的スムーズに行ったり

  もします。

   たとえば背景事情がややこしい事件など、時系列に整理したり、客観的な証拠を

  揃えるなどし、警察にわかりやすく説明し、告訴状を受理してもらえるよう

  活動したりします。

 

   余談ですが、被疑者の弁護人をしていると、

 

   「こんな程度の事件で逮捕・勾留するのか」

 

  と思う一方、

  被害者側に立つと、

 

    「なんで、こんなに酷い被害なのに、警察は告訴状を受理しないいんだ」

 

  ということもあり、立場変われば、ですね。

 

(2)示談交渉

   特に、①被疑者で勾留されている場合、②被告人として裁判が迫っている場合、

  被疑者・被告人の弁護人が、被害者に示談交渉を持ちかけることがあります

 

   特に①被疑者の場合で、勾留請求から10日ないし20日をタイムリミット

  として、起訴されるか否かといった微妙なラインのときは、弁護人としては、

  頑張って被害者と示談をしようとします。

 

   また、②起訴後も、被告人としては、判決で、執行猶予付き判決になるよう、

  あるいは、量刑をできる限り減らすために、示談交渉を頑張ります。

 

   主には、弁償(金銭賠償、示談金の支払い)ですが、被害者は被害を受けて

  憔悴しており、被疑者・被告人の弁護人とさえ話をしたくないという状態のことも

  多いですので、被害者側の代理人弁護士として、被疑者・被告人の弁護人と

  示談交渉します。

 

   別途、不法行為(犯罪行為)に基づく損害賠償請求を民事訴訟でやることも

  できますが、これは時間も費用も大変ですので、被疑者・被告人が起訴や実刑

  目の前にし、何とか回避したいという状況では、示談が比較的有利に、かつ、

  早期に、進むことが多いです

 

   被疑者・被告人の弁護人として示談交渉の代理することは非常に多いですが、

  一方で、被害者側で示談交渉をすることも増えています。

   私は、被疑者・被告人の弁護人として、示談交渉をこれまで多くしてきたので、

  被害者側で示談交渉するときも、相手方(被疑者・被告人)の手の内(期限が

  迫っていることや、事件の内容によりどれくらいが賠償の相場かなど)をよく

  知っていますので、交渉はしやすいです。

 

   残念ながら、犯罪被害者となってしまった場合にも、是非、弁護士を活用して

  ください。

 

(3)検察審査会

 

  事件として警察が取り上げた場合でも、検察官が「不起訴」にした場合、

 被害者としては、これが不当であるとして、検察審査会へ申立てをすることが

 あります。

 

  実際に、これで不起訴が不当であると評価され、再検討される可能性は残念ながら

 比較的低いのですが、どうしても許せない場合に、ご相談を受けて、申立てをする

 ことも多いです。

 

(4)被害者参加

  被害者が亡くなってしまったような一定の事件や、強制わいせつなどの事件では、

 被害者として、刑事事件に参加することができます。

  その代理人として、被害者側の弁護士として法廷に立つこともあります。

 

まとめ

 

 犯罪被害者として辛い思いをし、謝ってもらいたい、金銭賠償をしてもらいたい、

二度と自分に関わらないようにしてほしいなど、様々な要求をかなえるために、

被害者側の代理人として弁護士がお役に立てる場合があります。

 

 犯罪被害者は、被告人から犯罪(不法行為)を受けたわけなので、民事訴訟で損害賠償請求することはできるのですが、刑事事件が係属している状況で、示談をした方が、早期かつ有利に金銭賠償をしてもらえることも多いです。

 

 犯罪被害者となってしまうと、警察から事情を聞かれ、調書をとられ、

 検察官に呼ばれて、事情を聞かれ、調書を取られたり、と心身ともに

疲労してしまいます

 その上、被疑者・被告人との示談交渉となると、辛くて、腹立たしくて、

冷静に対応できないことも多いでしょう。

 そのために、弁護士が、冷静に、被害者の利益を最大に、活動できます。

 

 そう、被害者側の弁護人は、被害者の心のケアにも配慮しないといけないので、

実はなかなか大変だったりします。

 

 残念ながら犯罪被害者になってしまった場合には、是非、お近くの弁護士(刑事弁護をされている弁護士の方がよいかと思います)にご相談ください。

  

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