理系弁護士、特許×ビール×宇宙×刑事

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自分史(企業の知財部での勤務)

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企業の知財部での勤務を終えて

 

はじめに

 

 私は、特許法律事務所に勤務している弁護士・弁理士です。

 

 大変幸運なことに、もう既に40歳を過ぎていますが、ある大企業の知財で、2019年7月から2020年8月まで1年間(といっても、月に10回の業務委託)働かせて頂く機会を得ました。

 

 コロナ真っ只中ではありましたが、(テレワークではなく)ほとんど出社しました。

 

 会社名は公表してよいはずなのですが、事務所の他のクライアントとの関係などもあり、念のため、伏せておこうと思います。大企業で、知財も大変強い、大学生の就職でも人気の企業です。赤い瓶の会社ですね(笑)。

 

 私の職歴は、特許庁(審査官)、特許法律事務所(弁護士・弁理士)、そして、会社(知財部員)となりました。知財を専門とする上でこの上ない機会でした。ありがとうございました。

 

業務内容

 

 ① 主には、契約審査業務(主に法律系の方が担当)や、若干の潜在的)紛争案件

  についてのアドバイス

 ② 出願やクリアランス担当(主に技術系の方が担当)の方向けの社内セミナー

  (間接侵害、進歩性、記載要件など、特許実務の内容)

 

をさせて頂きました。

 

 私は、特許庁の審査官出身で、普段の事務所での仕事も②がメインなのですが、①の契約審査の業務が人手不足ということで、そちらを主に担当させて頂きました。

 逆に、これまで事務所で契約書の作成・レビューの仕事は少ないので、最初は、経験不足で力になれないのではないか?と若干不安ですが、何とか対処できました。むしろ楽しくできました。

 

 (対企業、対大学、対医療機関との)NDA、MTA、業務委託契約、共同研究契約等で、マネージャーの方から割り当てられた案件を日々こなしました。

 契約書の日本語と英語の割合は、担当分野にもよるのかもしれませんが、8対2か、7対3くらいでした。

 

 契約の相手方と直接交渉することは少なく、主には事業部の方が直接交渉するので、事業部経由で来た契約書案をレビューします。

 

 別途、法務部がありますので、主には、知財条項知財権の帰属、特許保証条項など)を確認しますが、法務部が入らず、契約書全部をレビューすることもありました。

 

 企業には、過去の契約書や雛型も多く、(一から何をやっていいか分からない)というようなことは全く無く、非常に快適に仕事ができました。

 

雰囲気

 

 やはり大企業ということで、優秀な方ばかりであるだけでなく、人格的にも優れた方が多く、人間関係が辛いと思うことも皆無でした。

 もっとも、私自身、法律事務所から来ている弁護士ということで、相当に気をつかって頂いていたからかもしれません。すいません。

 

 (法律事務所での勤務では、各自の業務量の多寡はほったらかしですが、)こちらでは、マネージャーが各自の業務量も把握されていて、私も忙しそうにしていると、すぐに声をかけて頂きました。

 

 「良い意味で」仕事の量に気を使って頂いたのは、社会人になって初めてでしたので、涙が出そうになりました(笑)。

 ちなみに、「悪い意味で」というのは、「今月後何件やれ、もっとやれ~」というやつで、某前職で明示・黙示に圧力をかけられていたような気がしますが、今回の知財部勤務ではそのようなことは全くありませんでした。

 

 職場の雰囲気ですが、思っていた以上に、皆さんは黙々と仕事をされていました。もっと、わいわい・がやがや仕事しているのかと思っていました。

 もちろん、雑談とかもできる雰囲気ではあるのですが、イメージしていた以上に、静かな雰囲気で、部員がそれぞれの仕事を黙々されていました。

 

 コロナ禍のため、飲み会とかがほとんどなく、また、テレワークの方も多かったので、通常よりは交流を持つ機会が少なかったのは残念ではありました。

 

 私自身は1年間の業務委託ということで、いずれいなくなる、いわば「お客さん」のようなものですので、快適に過ごさせて頂きました。

 しかし、新卒や中途で就職し、希望の職種や、出世や、勤務地や、ワークライフバランスを考えながら働くとなると、それなりに色々と大変なのだろうと思います。

 

 しかし、若い大学生に聞かれたら、良い職場なので是非就職するのをお勧めするだろうと思いました。

 

事務所との違い

 

 朝、ちゃんと出社しなければならないというのが、最初一番大変でした。

 眠気を覚ますため、普段飲まないコーヒーを結構飲んでいました。

 でも、2、3か月で慣れました。

 

 事務所の執務場所は、パーティションに区切られた場所を2人で使っています。

 知財部では、非常に大きな部屋に、各自の机がダーッと並んでいる感じでした。中央付近に私の机がありましたので、四方八方から誰からも見える状態で、最初、大変落ち着きませんでした。

 こればっかりは辛そうと思いましたが、でも、まぁ、ちょっとすると慣れるものですね。

 

 仕事量を把握されているか否かが違いましたが、良い面(忙しい時には配慮してもらえる)と悪い面(管理されている)がありそうですね。

 

 事務所に戻ってから、仕事の量や内容を、他者に全く把握してもらっていないのが不思議な感じです。

 しかし、業務を把握されていないとなると、突然、死なないまでも、コロナになっちゃったら、どうなるのでしょう・・・。まぁ、弁護士は、原則として、それぞれ独立して個人でする仕事が原則なので、この点はやむを得ないですね。

 

 事務所と知財部での男女比率は、だいたい同じくらいでした。

 事務所の弁護士・弁理士は男性が多いのですが、秘書さん・事務員は女性が多いのでちょうど半々くらいです。

 知財部では、知財部員のうち半数まではいかないものの、女性が多かったです。女性マネージャーも多かったです。

 

事務所の仕事との両立

 

 下記記事でも書きましたが、事務所での仕事と両立していました。

 

masakazu-kobayashi.hatenablog.com

 

 働き始めたのは、留学から帰国してあまり時間が経っておらず、時間の余裕もあったので、事務所の仕事と知財部勤務も両立できるだろうと楽観的に思っていました。

 

 しかし、その後、事務所で某職務発明事件の主任を担当することになり、事務所での仕事が絶望的に忙しくなってしまいました。今も続いており、終わりが見えませんが・・・。

 

 本当は、知財部での勤務をもっと楽しみ、知財部での契約審査業務だけでなく、法務部や事業部の仕事にもっと首を突っ込んで、様々な業務を見て、企業法務全般や技術的な興味を満足させるべく、勉強しておきたいと思いましたが、実際には目の前の契約審査業務やセミナーの準備などをこなすだけで終わってしまいました。何より残念でなりません。もし、フルで勤務できていれば、実現できたかもしれないので、残念です。

 

最後に

 

 最終日に、ちょっとしたお別れ会をして頂き、私がビール好きであることを知っていた皆さんから、珍しいビールや、素敵なビールグラスや、お菓子(ビールのおつまみ)や、お花や、寄せ書きなどを頂きました。

 皆様、最後まで温かかったです。

 人生で、こんな理想的な働き方ができる職場を体験できるとは思いませんでした。

 改めまして、ありがとうございます。

 

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プレゼント頂きました。

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お花も頂きました。

 

 正直に申し上げると、頂いたビールは既に全て飲んでしまっており、しかも、(ある準備書面の提出日に、)わずか1日で全て飲んでしまいました・・・。

 ベルギーの高級ビールも、京都のクラフトビールも、上品で、美味しかったです。

 しかし、1日で飲んでしまうのではなく、もっとちゃんと味わうべきでした・・・(笑)。

 

 頂いたビールのレビューは残してあるので、時間のあるときに書きたいと思っています。

 

 

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