理系弁護士、特許×ビール×宇宙×刑事

理系弁護士・弁理士。特許、知財、宇宙、ビール、刑事事件がテーマです。

2箇所で働くことの天国と地獄

 

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Hell - Up To Date (1893)

 

はじめに

 

 今回は、ブログのテーマである特許、ビール、宇宙、刑事事件のいずれにも属しないテーマ、というよりは単なる愚痴を書きたいと思います。

 

 タイトルにあるように、2箇所で働くことの天国と地獄についてです。

 なお、念のため、この記事で特定の団体や個人を非難しようとする意図は全くありません。

 

事務所での仕事

 

 私は、弁護士・弁理士で、特許法律事務所で働いています。10年を過ぎました。

 去年(令和2年)7月から、クライアントにあたる某大企業の知財で、月に10日間(勤務時間は「原則として残業なし」の9時-6時くらい)、一知財部員として働いています。

 事務所と同社と私の業務委託契約です。

 

 だいたい、1日毎に事務所と会社で交互に働いています。

 

 月曜:会社、火曜:事務所、水曜:会社、木曜:事務所、金曜:会社

 

 あるいは、

 

 月曜:事務所、火曜:会社、水曜:事務所、木曜:会社、金曜:事務所

 

といった感じです。 

 

 このような勤務形態になったのは、事務所からその企業で働くように指示があったからです。弁護士といってもサラリーマンと一緒ですね。

 その企業から、人手が足りず誰かヘルプが欲しいと依頼があったからだと聞いています。

 

 私は、自分の知財の経験としては大変有益だと思い、快諾しました。

 

 というのは、私の事務所での仕事は、充足性や無効論を中心とした特許権に関する訴訟・係争事案の検討や訴訟の書面や警告状等の起案が大半です。 

 

 一方で、事務所では、契約書を作成・レビューしたり、チェックしたりするという仕事は、実はそれほどありませんでした。私の場合、理系で、特許庁審査官出身というバックグラウンドもあって、自ずと特許紛争の案件を多く扱うことになり、他の弁護士と比べても、相対的に契約案件や商標等の知財案件が少ないのです。

 

私は仕事は少ないが契約案件も得意である(と言いたい)

 

  私、ドイツ留学の際のLL.Mコースでの契約関係の講義では、以下のグラフのとおり、成績は単独で1番だったんですけどね・・・(プチ自慢)。

 

 なので、実は、LL.M.修了の翌年に、このPatent Licensingの科目のチューターを担当して、給料もらいました。

 

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私のLL.M.でのPatent Licensingの成績(何と1位!)

 

 余談ですが、ドイツの大学の謎の18段階評価は少しに気になっていました。当時はよく知らなかったのですが(7点以上が合格ということだけ知ってました。)、今回調べてみました。

 私が行った大学院ではありませんが、下記のベルリン自由大学のサイトに18段階評価の意味が書いてありました。

 

www.jura.fu-berlin.de

  

 18-16: very good

    15-13: good

    12-10: fully satisfactory

      9-  7: satisfactory

      6-  4: sufficient

      3-  1: defficient

            0: not sufficient

 

 私だけvery good分類に入れてもらっていますね(笑)。日本で言えば、A+といったところでしょうか。

 

 ちなみに、very goodはドイツ語だとsehr gutゼア・グート)です。だいたい、レストランでビール飲んだときか、(あまり美味しくない料理を食べたときでも)、ドイツ人から感想を聞かれらときに言うお決まりの表現です。

 すごく良い場合は、wunderbarブンダーバー)を使います。英語で言えば、wonderfulつまり、素晴らしいという意味です。

 

 ドイツでレストランや観光地に行った際に、感想を聞かれたら、

 まぁまぁ良ければ、ゼア・グートと言い、

 凄く良かったら、ブンダーバーと言っておけば大丈夫です。

 

知財部での仕事

 

 ちょっと話が逸れましたが、まぁ、愚痴の記事だからまぁいいでしょう。

 

 今回、企業の知財部では、主に、契約審査をすることになったため、共同研究開発契約、業務委託契約、MTA、NDA0などで、知財が関係する契約条項等の修正や確認など、事務所ではこれまであまり扱ってこなかった仕事がメインです。英語案件も多いです。

 

 私の経験としては、紛争案件だけでなく、契約案件も多数扱えるということで、大変有難い、申し分のない環境です

 

 しかも大企業ですので、契約案件は本当に様々で、法務部の方と共同で契約審査をするのですが、知財条項以外の条項の修正などから学ぶことも本当に多いです。

 

 また、これまで知らなかった法律や規約、規制に触れることができ、大変有意義です。

 

 私、大学院を卒業してからは、

 

 ① 特許庁(特許審査官)

 ② 法律事務所(弁護士・弁理士

 ③ ドイツの特許事務所、法律事務所、

 ④ 企業の知財

 

での勤務ということになり、おまけに、⑤大学でも非常勤講師で知財を教えていますので、知財業界にいる人間としては、これほど恵まれたキャリアはありません。

 

2箇所で働くことの地獄

 

 しかし・・・

 去年7月から、事務所と知財部の2箇所で働き始めて半年以上経ちましたが、はっきり言って地獄です。正直、今の状況から逃げ出したいです

 このような事態は、正直、事前にはあまり予想していなかったので、現在の状況を記録しておきたいと思い、記事にしたのです。

 

1.仕事環境が違い過ぎる。

 

 事務所では、打合せの時間を除いて、期限までに間に合えば、基本的には自由なペースで仕事ができますパーティションで仕切られた環境で仕事をするのも落ち着きますし、(休憩したくなったら休憩するなど)自由に振舞えます。

 午後5時30分(事務方の勤務時間)以降であれば、ビールを飲みながらだって仕事できます。まぁ、実際に飲み始めるとしてもだいたい9時過ぎくらいからですが。

 

 一方で、企業では、(こちらが社会人としては通常なのですが、)朝、勤務開始時間までに遅れずに到着し、きっちりと座って黙って仕事をし、お昼休みも決まった時間で、勤務時間の終了を告げる鐘とともに勤務を終えます。ネットサーフィンもしません。

 業務委託の関係で、残業は認められていません。 そのため案件の処理が非常にタイトです。

 

 2つの違う環境が、1日ごとに交互にやってくるので、(企業勤務の方が)心身とも全く慣れません。

 

 また、仕事環境として、メール、スケジュール管理、データの管理のシステムが、2箇所で全く異なります

 

 知財部で、当初は、慣れないメールの使い方等であたふたしてしまったり、まるで新人みたいです。もちろん、いろいろと助けてはもらえますが、人の助けを借りることは、その人の時間を奪うということを意味しますので、結局、自分の精神的苦痛として返ってきてしまいます。

 最近は、やっと慣れてはきましたが。

 

2.両方で落ちこぼれる

 

 私は、各職場に、2日に1回しか来ないという環境です。正直なところは、知財部での勤務終了後、ほぼ毎日、事務所に戻っています。

 それぞれの職場では、主担当の仕事があるのですが、他の方と共同で進めていく仕事が多いです。事務所では案件ごとにチームになりますし、企業では、事業部・法務部・知財部が契約案件を進めていきます。

 

 実際に、何が起こるかというと、私は一日おきにしかいませんので、私がいない間に、各案件について話がどんどん進んでしまい、両方の案件の進行についていけなくなるという事態が発生することになります。これは、恐ろしく苦痛です。

 

 たとえば、朝、知財部に行って、メールをみると、緊急の案件だと1案件あたり10件以上のメールが飛び交っていたりします。それをキャッチアップするのに午前中を費やしてしまうこともあります。

 なお、外からでも会社のメールは見れるのですが、きっちり事務所での仕事や家でのプライベートと分けるため、敢えて見ないようにしています。

 

 知財部では、(私が2日に1回しか来ないので、)緊急の案件は、本当は配点しないようにお願いしたいところなのですが、現実には私がヘルプで働くほど人手不足だそうなので、そうもいかないようです。キャッチアップできずに、不十分な理解のまま打ち合わせにのぞむと、みんなについていけなくなります。

 私、会社の事業内容もまだよく理解していませんし・・・。

 

 「今週金曜日までに契約締結したい。」

 

という案件で、私は、その週は、2回しか勤務しなかったりすると、間に合いません。結果的に、(私に代わって)他の方に案件を進めてもらったりして、申し訳ない感じになります。

 

 事務所の事件も、準備書面の内容など、メールで方針がどんどん決まっていき、私は取り残されます。事件の状況把握についていけなくなるのです。

 知財部勤務の日は、いつも午後6時過ぎに事務所に戻るのですが、メールの件数が100件近くになっていると、「あーーーー。」と思いながら、下からチェックしていきます。

 知財部勤務の日に、本当に大事な事務所のメールは、秘書さんの個人メールに転送してもらい、お昼に読んだりしています。お昼に電話で対応したりします。

 

 結果的に、2箇所で落ちこぼれ状態になり、キャッチアップするのに時間がかかてしまい、見落としがあるとミスにつながってしまいます。まだ、致命的なミスはしていませんが・・・。

 

3.仕事が減らない

 

 事務所での新規案件は減っているはずですが、それでも既存のクライアントから直接メールで依頼がくることがあり、他の方にやって頂くわけにもいかず、対応していますので、それほど事務所の仕事が減っていません。

 

 しかも、私が事務所にいないときにクライアントから電話がかかってきてしまい、迷惑をかけてしまっており、これも申し訳なく、精神的苦痛です。

 

 結果的に、仕事に追われ、土日も勤務し、休みがない状況です

 

 2箇所での交互勤務は、トータルで100%の仕事量ではなく、感覚的には、(昨年比で)170~180%の仕事量になってしまっており、精神的ストレスは(昨年比で)3倍くらいです。

 

 あと、コロナの影響で、民事裁判も刑事裁判が4~6月あたり、止まっていたのですが、7月あたりから復活して、2箇所勤務に加えて、期日対応も結構な負担です。

 

 ちなみに、企業での勤務は、全て出社勤務で、在宅勤務日がありません

 事務所の方は、週に1、2回は在宅勤務が認められているはずですが、事務所勤務日に、対面での打合せや期日を集中させているので、在宅勤務がほぼ不可能な状態です。

 

4.移動が多い

 

 企業での勤務後に、事務所に戻って仕事したりしているので、「家→会社→事務所→家」など移動時間が多いです。

 コロナに暴露される時間も多くなり、精神的苦痛が伴います。

 

5.企業でのルール

 

 企業での決裁やルールに慣れません。人に話かけるのも仕事の邪魔をしてしまいそうで躊躇します。でも、慣れないので、分からないことが多く、抱え込んでしまう場合もあります。最近やっと慣れましたが。

 

最後に

 

 こんな環境では、私のライフワークとしていた刑事事件もなかなか受任できません。

 

   現状は、業務委託が終了する6月末を心待ちにしているだけです。ここは、体調を整え、波風立たせず、ただ黙って仕事を処理し、ただ月日が経過するのを待つしかありません。

 

 (私も含め)世の中の皆様は、今、マスクをし、旅行にも行けず、飲み屋も堂々と行けず、非常な閉塞感を味わっていらっしゃると思います。

 

 私の場合、コロナに加えて、2箇所での出勤による勤務により、ほぼ在宅勤務ができず、事務所の仕事をこなすのに土日も休むことができず、でも私がいない間に案件が勝手に進行したりして、コロナ以上の閉塞感やストレスに苛まれています。

 

 繰り返しになりますが、ただただ、問題を起こさず(失敗をせず)、無難に過ごし、時が経つのを待つのみです。

 

 あるアメリカの調査で、人生において最も不幸な年齢は47~8歳だそうです。

 

www.nikkei.com

 

  私は3月で46歳になりますが、果たして私は乗り切れるのか・・・。その後、さらなる不幸が待っているのか・・・。

 

 楽になりたい。

 

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