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特許入門19-論文問題2

はじめに

 

今回は、私が、筑波ロースクールの知的財産法演習で扱った(司法試験を意識した)論文問題の2問目です。 

 

前回までに、論文問題1を検討しました。

 

masakazu-kobayashi.hatenablog.com

 

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論文問題2

 

1.甲は、「A部材、B部材、及び、C部材からなり、Cの断面形状が『真円形(=まんまる)』であることを特徴とする器具」の発明について特許出願をし、審査請求をしたところ、拒絶理由通知を受け取ることなく特許査定を受け、特許権の設定登録がなされた(以下「甲特許権」、「甲発明」という。)。甲発明における発明の詳細な説明において、C部材の断面形状の実施例として、「真円形」と「楕円形」が同等・等価のものとして列挙されていた。

  乙は、A部材、B部材、断面形状が「楕円形」であるC部材からなる器具を製造・販売している。

  甲は、乙に対し、甲特許権に基づく侵害を主張することができるか。

 

2 甲は、「A部材、B部材、及び、C部材からなる器具」の発明について特許出願をし、審査請求をした。審査官は「A部材、B部材、C部材からなり、Cの断面形状が『正方形』であることを特徴とする器具」が開示された引用文献により、新規性欠如の拒絶理由を通知した。甲は、同拒絶理由を解消すべく、クレームを「A部材、B部材、及び、C部材からなり、C部材の断面形状が『(真)円形』であることを特徴とする器具」と補正したところ、特許査定がなされ、特許権の設定登録がなされた(以下「甲特許権」、「甲発明」という。)。

 

(1)丙は、A部材、B部材、断面形状が「正方形」であるC部材からなる器具を製造・販売している。

   甲は、丙に対し、甲特許権に基づく侵害を主張することができるか。

 

(2)丙は、A部材、B部材、断面形状が「楕円形」であるC部材からなる器具を製造・販売している。

   発明の詳細な説明において、C部材の断面形状の実施例として、「真円形」と「楕円形」を同等・等価のものとして列挙していた。

   甲は、丙に対し、甲特許権に基づく侵害を主張することができるか。

 

(3)丙は、A部材、B部材、断面形状が「楕円形」であるC部材からなる器具を製造販売している。

   発明の詳細な説明において、C部材の断面形状の実施例として「楕円形」は挙げられていなかった。甲は、補正の際に、意見書において、甲発明と引用発明との構成の違いを比較した上、「C部材の断面の外縁が、中心から同じ距離にある」構成であることによる有利な効果を主張していた。

   甲は、丙に対し、甲特許権に基づく侵害を主張することができるか。

   甲が、意見書において、「C部材の断面形状に角がない」構成であることによる有利な効果を主張していた場合は、結論が異なり得るか。

 

最後に

 

あー、あの判例ね、という問題です。

こういう場合分け問題が好きなので考えてみました。

 

今年の司法試験の知的財産法の第1問(特許法)では、幸い、この論点が出ませんでした(ので授業で扱えました)が、近い将来出題されるでしょうね。

 

次回は、解説を記事にしたいと思います。

 

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