理系弁護士、特許×ビール×宇宙×刑事

理系弁護士・弁理士。特許、知財、宇宙、ビール、刑事事件がテーマです。

理系から知財の世界へ、そして弁護士へ

なぜ、理系から弁護士になったか?

学生時代までは生粋の理系でした。算数・理科は大好き、国語・社会は大嫌いでした。

教科書などを除いて、本もほぼ読んだこともありませんでした。それでも頑張れば弁護士になれるのです。

三重から上京し、東京生活が非常に快適でした。東京で、大学か企業で研究者として一生を終えたい思いました。

現実を知る

博士課程に進みたいと思いましたが、アルバイト程度の収入しか得られないことを知り、まだ親に支援してもらわないといけないのか、と悲しくなりました。

企業に就職するにしても、研究所は地方になると知り、当時の私は躊躇しました。

今の多様な時代なら、もっと良い進路を見つけ出せたかもしれませんが、当時は視野が狭かったのです。

弁理士を知る(反動)

博士課程まで行っても、東京でまともに暮らせないほど稼げないのか、という不甲斐なさを感じた反動で、理系で稼げる仕事を調べていたところ、弁理士の存在を知りました。

たまたま「弁理士、『億』稼げるよ。」みたいな記事を読んだ記憶があります(笑)。

特許(知財)の世界へ

よしっ、と思ったのが大学院の2年生のときで、難関の弁理士試験合格は間に合わないことが分かりました。当時の合格者数は、たしか140名程度でした。先に特許庁審査官をし、その後に弁理士だ、と思い、国家公務員Ⅰ種技術職の試験・面接を経て、採用されました。

当時は、小泉・知財ブームの前で、お世辞にも人気の官庁ではありませんでしたので、「特許庁第1志望です。」は、印象良かったでしょうね。

 

事前に、大学院のときに、弁理士試験の勉強を始めてみたのですが、特許法など法律の勉強の仕方を全く知らず、「お経」のように感じ、とりあえず、「第1条から暗記でかな。」と思い、図書館でひたすら暗唱していました(笑)。無知というのはほんとうに恐ろしいですね。

しかし、その後遺症で、今でも、特許法1条からしばらくの条文は暗唱できます(笑)。2条くらいまで暗唱できるのは、今となれば、悪いことではないですね。当時と違い、今は、特許法2条も長い規定になってしまいましたが。

審査官の職務(と若気の至り)

特許庁の審査官の仕事は自分には素晴らしいものでした。一人で黙々と仕事できるし。生まれ変わったら、もう一度就職したいくらいです。出世したければ頑張れるし、そうでなくても、楽しくプロパーで審査ができます。審判官になれば、裁判官「のような」仕事もできます。公務員で休暇もきっちりしていますし、様々なキャリアプランが立てられるので、女性にもおすすめです。

しかし、当時の20代の私は、若気の至りで、上司の考え方や態度や多くを否定し、衝突してしまっていました。「大人」として賢く振舞えませんでした。当時の私は、なぜ、あんなに尖がっていたのでしょう。なぜ、あんなに殺気立っていたのでしょう。

もともと、弁理士になろうと思っていたこともあって、本格的に試験勉強を再開して、早く辞めて弁理士に転向しようと思うに至りました。今考えると、もったいないですね。

ロースクール

日本にロースクール法科大学院ができ(司法制度改革)、そこに行くと、7割の確率で弁護士になれることを知りました。現実には、7割ではなく、2割5分程度でしたが…

しかも、筑波大学という夜間・土日のみロースクールもできました。審査官をしながら、3年通って、司法試験に合格できました。その前年に、弁理士試験と行政書士の試験も合格してました。

 

わざわざ、弁護士になったのは、「揉め事・紛争・裁判が好き!」の一言に尽きます。

今思い返すと、審査官時代に、起案(文書作成)能力を身に着けることができたことが各試験の合格への近道となりました。特許庁には、「ありがとうございました。」と言いたいです。

 

一方で、過酷な3年間の仕事・ロースクールの両立生活の犠牲は大きく、体に多くの病気を抱えてしまうに至りました…寿命も多分10年は縮みました。

今は、なるべく回復できるように体に気を配っています。

そして、弁護士・弁理士(理系弁護士)へ

30代半ばで弁護士になり、弁理士登録もしました。弁護士資格は司法制度改革に伴う「棚ぼた」でしたが、やっと当初の弁理士になる目的を達成しました。「億」という目標は達成していませんが(今後も明らかに無理。)。

理系弁護士というのは、私がなった当時は比較的珍しかったです。

今は、審査官時代と比べると、特許以外にも仕事の幅が広がり、収入も多少増えて、良かったと思っています。他人のものとはいえ、紛争に囲まれ、生き生きしています。

もっとも、定年(65歳)のころになったら、どう感じるかは、またそのときに生きていれば振り返ってみたいと思います。

若い方に、弁護士・弁理士の仕事を勧めるかといえば、将来有望な職種かどうかという観点からは微妙です。一方で特許審査官は良いと思います。

最後に(特許法・実用新案と実務)

理系や法律の知識のない方で、特許に興味があるかたは、是非、下記パワポをご参考ください。

www.slideshare.net

最近、初心者向けに、特許法と実務を解説したセミナーをする機会があったので、その際のパワポをアレンジしたものをアップします。

(このパワポだけでは到底興味が湧くものではないと思いますが、)、将来、特許にご興味が湧けば、是非、知財の世界へいらしてください。