なぜ、理系弁護士が刑事事件を受任するのか?
と、同業者(弁護士)からもよく聞かれます。
大半の弁護士は刑事事件を扱いませんし、私は知財(特許)が専門で、刑事事件はその対局にある分野だろう、というのもあるでしょう。
知財(特許)事件と刑事事件の違い
・依頼者 知財(会社の方でビジネスライク)⇔刑事(個人の方。感情むき出し)
・仕事 知財(主に事務所で打合せ、書面作成)⇔刑事(面会やら示談交渉やら)
・時間 知財(それほど緊急性は高くない)⇔刑事(緊急性が高い)
・裁判 知財(主に書面)⇔刑事(書面も重要だけど、裁判も含め口頭が多い。)
・尋問 知財(ほぼ無い)⇔刑事(裁判では毎回ある)
・報酬 知財(比較的大きい)⇔刑事(少ない)
理由その1 自分の知らない世界を知る
刑事事件を扱う理由は、単純に、好きだからです。
自分が普通に生きていても、なかなか見聞きしないであろう世界を垣間見ることができるからです。詐欺、窃盗、痴漢、薬物。外国人も多いので、文字どおり、世界を知ることもできます。
一般の方は、「警察24時」とかのテレビ番組で見るくらいで、あまり刑事事件に触れることは少ないかもしれません。しかし、刑事事件を扱うと、警察署や拘置所に、逮捕・勾留された被疑者・被告人と接見(面会)し、その生い立ちや、(冤罪の場合も含め)なぜ逮捕に至ったのかを巡る世界を見ることができるからです。
理由その2 すごく感謝される…ことが多い
依頼者から非常に感謝されることが多いことも挙げられます。
知財案件でも、もちろん、依頼者(会社の方)から感謝されることもありますが、あくまでもビジネスです。
刑事事件では、依頼者(被疑者・被告人)の人生に関わることですし、あからさまに味方をして助けますので、(たとえ有罪となっても、実刑となっても、)人として非常に感謝されることが多いです。
釈放や出所のときに感謝の電話を頂いたり、その後も相続の依頼を頂いたり、その後も個人的な付き合いをさせて頂いている方も結構います。
理由その3 指導者に恵まれたこと
幸い、修習生(=研修生)のとき、刑事弁護を多く扱う弁護士の先生方から熱心な指導を頂くことができ、裁判修習でも、著名な事件を多く担当した素晴らしい刑事裁判官にもご指導頂きました。
そのため、刑事事件を迷うことなく扱うことができるようになりました。
感謝しきれません。
誰でも、ちょっとしたことで刑事事件に巻き込まれる
私が扱った刑事事件も(個人が特定されない形で抽象化して)今後ご紹介したいと思います。
大半の方は、自分は刑事事件と関係がないと思われていると思いますし、確かに、滅多に関係することはありません。
しかし、長い人生の中で、自動車運転での事故、泥酔、男女のトラブルの延長、痴漢に間違われるなど、ふとしたきっかけで逮捕・勾留され、被疑者・被告人になってしまったり、あるいは、逆に、事件の被害者になってしまうこともあり得るからです。
正直言うと、所属する事務所の案件等をこなす中で、時間的にも精神的にも、現状は刑事事件をなかなか扱えず残念なのですが、今後も、年に何件かは受任したいと思っています。