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刑事事件-女子トイレ侵入で無罪判決

はじめに

 

 今回は、下記のニュース、ある男性が、女子トイレに入って、建造物侵入罪に問われ裁判にまでなってしまった事件の無罪判決についてです。

 

www.at-s.com

 

男性が女子トイレに入ってしまうこと

 

 本件とは関係ありませんが、よくニュースで、男性が女子トイレに侵入し、盗撮のためのカメラを仕掛けたりして逮捕されている事件が結構あります。

 

 そのため、多くの女性からすると、男性が女子トイレにいる状況だけをもって、盗撮だ、覗きだ、犯罪だ、と思われてしまうかもしれません。

 

 しかし、男性が、女子トイレに間違って入ってしまうという事態は、現実には結構あるのではないでしょうか。

 

 でも、間違って入ってしまったということですと、「故意」がなく、建造物侵入としては無罪です。

 

 こういう状況の時、間違って入ってしまうのではないでしょうか。

 

 ① 便意を催して焦って、判断能力が鈍っているとき

 ② 酔っぱらって、判断能力が鈍っているとき

 ③ 男女の表示が紛らわしいとき

 

 ③については、たとえば、小さな飲み屋さんとかでは共用の場合も多いですし、昔からの赤青表示(この色分け事態が別の問題を提起する方もいますが)がなく、色分けなく分かりにくかったり、あるいは、gentlemen, ladyとか英語でしか書いていなかったりすると、間違って入ってしまうこともありそうです。

 

 余談ですが、私の経験上、駅やデパートとかでは、(並列ではない場合)男子トイレが手前、女子トイレが通路を入った奥に設けられることで、(わざわざ奥のトイレを男子トイレだと間違う確率は低いですね。)そのような間違いが防がれているようにも思ったりします。

 

 さて、本件では被告人とされた方は、腹痛で便意を催していたそうなので、①判断能力が低下していたようですし、また、③男女のマークが併記されており、被告人の主張、つまり、男女共用だと思った、との主張が受け入れられているようです。

 

 建造物侵入って、3年以下の懲役で比較的軽い罪なので、逮捕まではやり過ぎだとお人的には思っています。ましてや裁判なんて。

 

 以前に、下記記事で邸宅侵入(建造物侵入とか住居侵入とかと同じ類型です)で逮捕・勾留された件について書きました。

 

masakazu-kobayashi.hatenablog.com

 

誤って逮捕されないために

 

 私も、女子トイレの中までは入っていませんが、入口付近まで間違いそうになって、たまたま女性が出てきたところを「あっ」と思い戻っりしたことはあります。

 

 ですので、この件、他人事ではありません。

 しかも、間違って入って、逮捕され、刑事裁判にまでかけられたわけですから。

 

 そも間違わないように注意すべきですが、お酒を飲むことや焦っているときもあり、表示が紛らわしいこともあり、絶対に間違わないようにすることには限度があります。

 

 では、間違って入ってしまっても、逮捕されないようにするためにどうしたら良いでしょう。

 

 決定的手段はありませんが、

 

 ① 普段から身なりをキチンとする。

   実際問題、警察官との関係では、身なりは大事です。

   ちょっとだらしない格好をしているとすぐに職質にあったりしますよね。

   無銭飲食だってそうです。あれ、スーツを着た私が、財布忘れてしまった場合に

  店員さんに事情を話せば、「分かりました。後で払ってください。」で済むはず

  で警察は呼ばれませんが、無銭飲食で捕まるのって、(まぁ、本当に支払うお金が

  ない人ですが、)身なりがちゃんとしていないのです。

 

 ② 間違ってしまったとき、大きな声で「あっ、しまった、間違っちゃった!」

  と言う。

 

   間違って女子トイレに入ってしまったときに、慌ててこっそり出ようとして、

  女性とすれ違ったりすると、不審がられます。盗撮に入ったように見られます。

   大きな声で、「あっ、しまった、間違っちゃった!」と言った方が、誰かが

  それを聞いていれば、そう証言してくれます。

   こっそり盗撮に侵入したときは、見つかった時、通常はこっそり逃げるはずで、

  大声を出さないので、間違って入ったことを推認させる事実としては、声に出した

  方が良いのではないかと個人的には思っています。

   これは、もしかしたら、違う意見の人もいるかもしれませんが・・・。

 

最後に

 

 いつも言ってますが、刑事事件って遠い世界の話ではなくて、自分が何も悪い事をしていないくても、何らかの形で巻き込まれることは、人生に一、二度はあると思った方がよいと思います。

 

 注意して生活しましょう。

 

 この事件の方は、本当にお気の毒だったと思います。


 本件は女性裁判官でした

 

 男性が女子トイレに間違って入ってしまいそうになる状況って、女性には同じ経験がないでしょうから、(また、悪く言えば、盗撮・覗機などの偏見もあるかもしれませんから、)女性裁判官が判断するのはやや被告人に不利な気がしました。しかし、この女性裁判官は、偏見なく、客観的事実に基づいて無罪判決をしたようで、良かったです。

 

 でも、このような事件を担当して、裁判官が女性なら、私、正直、「あっちゃー。」と思ってしまいます。偏見ですね。伏してお詫びします。 

 

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