はじめに
今回は、刑事事件等との関係で、社会的制裁について説明したいと思います。
刑事事件における社会的制裁
私は、法律を勉強し始めるまで、この言葉を知りませんでした。
社会的制裁の意味は、たとえばネットで調べると、「法によらない社会構成員からの制裁行為」とあります。
何か、村八分的な感じで、怖い定義ですね。
さて、弁護人は、たとえば、万引き(窃盗)の自白事件(=被告人が罪を認めている事件)において、裁判で減刑を目指して、被告人にとって有利な情状を主張・立証します。
① 被告人が、反省し、二度と万引きをしないと誓約していること、
② 被告人は被害者に謝罪して弁償し、示談が成立したこと、
③ 被告人には、指導監督する者(親など)がいること、
④ 被告人の雇用主から、今後職場で指導監督するから、執行猶予付き判決に
してあげてほしい、という上申があること(上申書を提出していること)
などなどです。
これらに加えて、
⑤ 被告人は、既に社会的制裁を受けており、更に重い刑罰を科す必要まではない、
という情状を述べることもあります。
この具体的内容としては、たとえば、万引き(窃盗)の事案でいえば、被疑者が逮捕・勾留されたことにより、①職を失ってしまったとか、②犯罪が原因で配偶者と離婚になってしまったとか、そういった事情です。
刑罰って、基本的な考え方は応報刑なので、やってしまった罪に相当する罰を与えるというものです。
しかし、やってしまった犯罪について、裁判所から判決で刑が言い渡されるまでの間に、既に職を失ったり、離婚になってしまったりして、事実上、罰に近い不利益を被ることがあります。
そのような場合は、既にそういった社会的制裁を受けたのであるから、刑罰としては減刑してあげて欲しい、という主張をするのです。
刑事事件ではなくとも、社会的制裁はある
ある芸能人が不倫の謝罪会見をしましたよね。
以前これを示唆したお話を書きました。
masakazu-kobayashi.hatenablog.com
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さて、不倫は犯罪ではありません。不適切な行為であることは間違いありませんし、配偶者との関係では不法行為(民事上の損害賠償)の対象とはなります。
不倫が刑罰が科されることはないのですが、特に芸能人に対する社会的制裁は凄まじいですね。刑罰なんかを優に上回っているのではないかと思われるくらいです。
私は、興味も時間もないので謝罪会見は見ていませんが、ネットでニュースの記事を見ていると、嫌でも勝手に出てきますね。
何か、芸能レポーターの人が色々と執拗に突っ込んで質問したのでしょうか。
芸能人ってイメージ商売なので、イメージと異なる悪いことをしてしまった場合は、事実上、仕事自体を失うという、場合によっては刑罰以上の社会的制裁を受けてしまいます。
しかし、最近のは行き過ぎですね。何か閉塞的で不満の渦巻く社会状況の現れのようです。
ニュースの記事を見る限りでは、「本人が酷かった」とか(芸能レポーターの質問がひどかったので逆に)「同情した」という意見が上がっていました。
どちらにしても、お笑いなどの実力があって芸能人をやられているわけでしょうから、なるべく早く復帰してもらいたいものです。
最後に
今は、インターネットの普及により、(犯罪を犯していなくても、場合によっては不倫などの不適切な行為をしていなくとも、)社会的制裁ようなものが、人を自殺にまで追い込んでしまう社会になっています。
一昔前から格差社会が問題になっていましたが、コロナ禍で、それが加速しているような気がします。
人々は、勝手に、社会的ランクのようなものを設定し(「上級国民」なる概念など)、自分の位置を勝手に決めつけ、自分より「上」と思われる者を叩き、一方で、自分より「下」と思われる者を叩き(たとえば、ホームレスの方への暴行など)、それで満足(不満を解消)しているようにも思えます。
コロナ禍で人と人との直接のコミュニケーションが減り、人間関係が希薄になっている一方、今のインターネットのように情報が普及し過ぎた世界では、(ろくに知りもしない他人に嫉妬するなど)他人のことがあまりに気になり過ぎるのかもしれません。
「他人は他人、自分は自分」と教わりましたが、これをずっと意識していかないといけません。
さて、私のお昼は、小学校の時から大好きなサッポロ一番塩ラーメンでした。
これは、本当に美味しいですね。
その後(その前ではありません。)、ビールを飲んだら、最高でしょうね。