はじめに
今回は、ベトナム人の刑事事件について、ご説明したいと思います。
外国人の被疑者・被告人
逮捕・勾留され、被疑者になり、起訴された被告人となるのは、日本人だけでなく、外国人も同様です。
噂では、国選・当番事件で、外国人の事件が配点された弁護士の中には、何らかの言い訳をして、国選の選任指名などや当番での出動を断る人がいると聞きました。
私はまだ断ったことはありません。
というか、確か、そのような理由で断っていはいけないはずです。
外国人事件を断る理由ですが、おそらく、①一般的に言って外国人はデマンディングであること、②通訳を伴う必要があるので接見(=面会)等が面倒、③通訳を介したとしてもコミュニケーションが難しいこと等が挙げられると思います。
これらは確かにそのとおりかもしれません。
逆に、私のように、外国人事件を一切断らずに担当していると、外国人事件が「優先的に」配点されるという噂もあります(笑)。
多分、噂に過ぎないと信じますが、ある地方の弁護士の話ですと、そのような優先配点が行われていると聞いたことがあります。
被疑者・被告人全体に占める外国人の割合については、実際の統計は知りません。
が、私の国選・当番事件(被疑者・第一審)の場合、4、5件に1件は外国人という印象です。
東アジアの人が多いですが、今年になって、私、ベトナム人の事件(いずれも不法滞在ですが)を3件も担当しました。他の方に聞いても、ベトナム人の被疑者・被告人が非常に多い(増えている)という印象です。
ベトナム人の被疑者・被告人
最近、意識しなくても、ベトナム人の事件をニュースで目にしますね。
なんか、このままいくと、ベトナム人=犯罪者のような先入観が日本人に植えつけられてしまいそうで、ちょっと懸念しています。
まず、日本が(農家などが)必要として、ベトナム人の技能実習生を受け入れていますよね。
私が今年担当した不法滞在の件は、いずれも、就労先(農家など)での労働が過酷で逃げ出した、というパターンでした。
これ、日本の(農家などの)受入先とベトナム人で、どっちが悪いかっていうのは何とも言えませんが、就労現場での過酷な労働については、ときどきニュースで話題になっていますよね。
まぁ、上で引用した窃盗(団)は、明らかに関与したベトナム人が悪いですが・・・。
でも、全員が全員そのようなベトナム人ばかりではありません。
私がベトナム人の被告人とお話しした限りでは、彼らは非常に礼儀正しく好青年でした。しかし、労働現場が過酷で逃げ出したが、何とか日本で働きたいと、闇のブローカーに偽造ビザ等を作成してもらい滞在を続けたり、ビザが切れても働いていたりという感じです。
この傾向を改善するには、(日本が必要としている前提で)ベトナム人の技能実習生を受け入れる以上は、就労先での労働環境の改善や監視が必要になってくるように思います。
ちょっと私の手には負えない政治のレベルの話ですね。
最後に
ベトナム語は、ちんぷんかんぷんなので、通訳の方(ベトナム人だが生まれてから日本に住んでおり、日本語もネイティブ)をお願いしますが、通訳業務が多く、大変忙しそうなので、その点は羨ましいです。
通訳の方も非常に好青年な方が多く、是非、ベトナムに対する偏見は持たないようにお願いしたいと思います。
ちなみに、私も含めベトナム料理が好きな方は多いかと思いますが、ベトナム人は意外に日本料理が苦手なようです(複数名からそのような話を聞きました。)。
ですので留置施設や拘置所での(まずい日本食の)食事はさぞ辛いだろうと思います。