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刑事事件-悉く更生を妨げる風潮

 はじめに

 

 以前に、下記記事で、「いずれ復帰する(ことを妨げられない)権利」について書きました。

 

masakazu-kobayashi.hatenablog.com

 

 犯罪をしてしまった人も、(死刑ではない限り)いずれは社会に復帰します

 してしまった犯罪に対しては、適正な刑事罰が科されることになっています。

 しかし、その刑事罰以上にその方を追い込むこと、言い換えれば、社会復帰を絶望的ないし著しく困難にすることは、犯罪をしてしまった人にとってはもちろん、社会にとっても何らプラスはありません。

 そのような趣旨のことを書きました。

 

 しかし、現実は、一度犯罪をしてしまった人を、悉く貶める記事が氾濫しています

 具体例を示しましょう。

 

 ある事件の報道記事

 

 具体例といっても事件を具体的には特定しません。

 私が記事にすること自体が、「いずれ復帰する(ことを妨げられない)権利」を少なからず害することになってしまうからです。

 

 ・一般人経営者で、事業との関係で、ある犯罪で逮捕された方(Aさん)です。

 ・Aさんの親が急遽経営者に復帰したが、営業は譲渡せざるを得なくなった。

 

 ここまでの記事であれば、事件に関連する内容として、適正な報道の範囲かもしれません。

 

 しかし、記事はここからAさんの様々なところを掘り下げます。

 抽象的に要約すると、

 

 ・小学校の友人談:Aさんは「奇声を上げ、バカだった」旨。

 ・Aさんの大学卒業後の(経営者になる前の)就職先を具体的に特定し、列挙。

 ・Aさんの兄弟は一般人だが、個人名で仕事をしている関係で、氏名が晒される。

 ・Aさんの親の逮捕歴。

 ・Aさんの離婚、再婚、子どもの存在。

 ・経営していた事業に関する悪評の羅列。

 ・(経営者になる前の)前職でのセクハラ・パワハラ行為。

 ・親へのインタビュー(本件により、私たちは地元を離れなければならない旨)

 

 また、某SNSに挙げられていたAさんの写真を晒しています。

 

この記事は社会にとって有用か?

 

 まず、犯罪をしてしまった自体はもちろん良くないことで、自らが経営する事業との関連での罪というのも褒められたものではありません。

 本当に罪を犯してしまったのであれば、適正な罰を受けるべきですし、そのために刑事裁判が用意されています。

 

 しかし、記事で書かれていたことは、

 

 ① そもそも本件と関係ない。

   特にAさん自身のことではなく、家族のこと、

 ② Aさんを犯した罪以上に貶めている。

   小学校のころのこと、前職のこと

 

 本件事件と関係のない、Aさんの家族のことや、Aさんや周辺の人の過去の事実、しかも、大半は悪い事実(一方的で事実かどうかもわからない)を掘り下げるものです。

 何か、本件と関係のないAさんの過去や、Aさんの家族までも貶めて、楽しんでいるとさえ思われる記事です。

 

 一方的な証言が中心です。

  しかし、Aさんや家族は実質上、反論の機会がありません

 

 ネット記事なので、これからずっと残ってしまいます

 

 このような記事って、社会にとって有用でしょうか?

 たとえ犯罪をしてしまった人であるとしても、社会の一員として復帰できない人を増やして、(高齢化社会少子化、外国の方を受け入れなければ維持できないほど働き手が少なくなっている)社会にとって、このような記事が有用でしょうか

 

 自分の知らない人が、1度の犯罪で、奈落の底に落ち、二度と復帰できないように叩かれる他人の不幸に対して自分はまだましであるという安心ざまーみろという快楽を感じるのでしょうか?

 仮にそのようなことがあるのだとしても、マスコミはそのような不正な需要に応じる必要はないはずです。というか、むしろ、マスコミが不正な需要を作り出している気がします。

 

最後に

 

 冒頭で紹介した前回の記事と同様ですが、犯罪をしてしまったことはもちろん悪いことですが、それに対する刑罰は、刑事裁判により適切になされることになっています。

 

 記事において、一方的な証言で、その人や家族の過去まで貶め、二度と復帰できないようにすることは、「いずれ復帰する(ことを妨げられない)権利」を害するもので、社会にとって害でしかありません。

 

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