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刑事事件-「いずれ復帰する(ことを妨げられない)権利」

はじめに

 

 「いずれ復帰する(ことを妨げられない)権利」・・・

 

 そういう権利が、適切に認められればなぁと最近思います。

 

 大麻取締法違反、酒気帯び運転、最近、芸能人の方が逮捕されていますね。

 

 ① 大麻は取り締まるべきか否か、

 ② 飲酒運転は単に軽率な行為なのか、いや、本人の意識の問題ではなく、薬物依存症と同様、治療が必要なアルコール依存症であり、周りがサポートすべき事案なのではないか、

 

 様々な方がコメントされていますね。

 

 でも、私が、今回書きたいのは、それらとは別に、「いずれは復帰する権利」というものです。

 

いずれは復帰する(ことを妨げられない)権利

 

 上記の犯罪は、刑事罰を科される違法な行為であることに間違いはありません。やったことが罪にあたるなら、それ相応の罰は受けるべきです。

 

 しかし、逆に言うと、それ以上の制裁は科されるべきではありません。

 

 たとえ犯罪をしてしまったとしても、刑期を終え、あるいは、執行猶予判決が出れば、適切に、一社会人として社会に復帰することでき、社会で活躍することができるべきです(なお、今回は、死刑や特定の職業による欠格事由には言及しません。)。

 

 ここ最近は、特に、芸能人や社会的身分が高い人を、してしまった犯罪行為だけでなく、それと全く関係のないこと(あいつは昔から酷いやつだったというエピソードなど)を様々に持ち出し、徹底的に糾弾する記事やコメントが見られます

 

 犯罪被害者であれば感情的には分からないではないですが、第三者が、ここぞとばかりに、昔のことをも持ち出したりして、徹底的に攻め立てますよね。マスコミがネタを掘り起こしている感じもあります。

 

 あれ、我々(社会)にとって何かメリットあるでしょうか。単なる憂さ晴らしや、他人の失敗をネタにした自己主張のような気がしてなりません。

 

 (犯罪でありませんが)不倫についても、同じように、全く関係のない第三者が、徹底的に、時に面白おかしく、攻め立てますよね。

 

 結果、復帰を困難ならしめています。

 

 刑罰に上乗せした不適切な社会的制裁です。しかも、ネット社会なので、攻め立てた内容が、ずっと残ってしまい、また、時を経て、掘り起こされたりもします。

 

 確かに、芸能人の場合は、その人のキャラクターやイメージが商売なので、結果として、完全な復帰が難しいこともあるかもしれません。しかし、才能あって役者や歌手をやっている以上、また、いずれは、元通りに復帰することが、その人にとっても、社会にとっても有益なはずです。

 

 それは、普通に働いている一般人も同様です。

 

 「いずれは復帰する権利」、あるいは、「いずれ復帰することを妨げられない権利」といいましょうか、それは適切に保護されるべきだと思います。

 

 人は、犯罪をしてしまったり、違法なことをしてしまうことがあります。

 

 でも、それは、凶悪犯や、倫理が全く欠如した人というよりも、つい魔が差してしまったとか、ストレスとか、その人の不遇な環境とか様々ですが、いずれにしても、ごく普通の人が多いです。刑事事件の弁護人を担当して思います。社会から追放されるべき根っからの犯罪者というはそう多くありません。

 

最後に

 

 悪いことをしたら、それ相応の罰を受け、でも、その人は(できれば元どおりに)復帰できるようにする、そういう社会の方が損失が少ないはずです。

 

 年末の某お笑い番組では、不倫などで失敗してしまった芸能人を出演させ、復帰をお膳立てしているように見受けられます。

 いつも、笑いながらも、番組の趣旨を感心して見ています。

 

 

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