はじめに
刑事事件を担当していると、嬉しいことと嫌なことがあります。
今回は、このテーマで記事を書きたいと思います。
嬉しいこと(釈放された後に、電話をくれること)
私が、刑事事件をやっていて良かったと思うことの一つは、身柄が釈放され、被疑者・被告人やその家族が、電話で報告してくれるときです。
被疑者の場合、起訴されずに、釈放されることがあります。
被告人の場合、起訴されても、保釈により釈放されることもあります。
被疑者・被告人の釈放は、弁護人としての成果ですので、自己満足として嬉しいことは確かです。
ところが、釈放された後に、私に連絡をしてくれる被疑者・被告人は少数派です。
多分、5、6人に1人くらいです。もっと少ないかもしれません。
最初は、私が色々と頑張って弁護活動をした結果として、被疑者・被告人の身柄が釈放されたのだから、その日のうちに、お礼の電話一つくらいするのが礼儀だ、と思っていた時期がありました。
まぁ、でも、被疑者・被告人も、身柄が釈放されたことによる解放感であったり、失った日常生活を取り戻すことが最優先なんだろうなぁと自分なりに納得し、もはやそのように思わなくなりました。
むしろ、最近では、連絡してこないのが当たり前の感覚で、でもたまに連絡してきてくれると、
「いやぁ、釈放されて良かったですね。疲れているだろうに、わざわざ連絡してくれて、ありがとうございます。」
と言ってしまいます。そういう気持ちに変化しました。
まぁ、気の持ちようは大事ですね。
そうでないと、色々と精神的に堪える刑事弁護は務まりません。
被疑者・被告人本人だけでなく、ご家族から、大変丁寧な手紙を頂くこともあります。これは嬉しいですね。大切に取ってあります。
私が死んだとき、誰かが書類を整理してくれて、この感謝の手紙がたくさん出てきたら、きっと私は良い人だったんだとみんなが思ってくれるでしょうからね(笑)。
ごくごく稀ですが、刑期を終えて出所した際に、電話をくれる被告人もいます。私の方はと言えば、正直、忘れてしまっていることもあります(笑)。これも、ずっと憶えていてくれたってことですから、大変嬉しいですね。
あと、これも稀ですが、執行猶予期間が満了した際に、連絡をくれる被告人もいます。これも嬉しいですね。きっと、本人が何より嬉しいのでしょうね。気を抜かないようにお伝えします(笑)。
更に、新しい事件を相談・依頼してくれる方もいます。今度は刑事ではなく民事ですが(笑)。別に、刑事事件をすることで営業活動をしているわけではありませんが(笑)、結果的に信頼してもらっているということで、嬉しいですね。
ちょっと笑い過ぎました。
嫌なこと(どうせ、国選だから・・・)
初回接見の冒頭から
「どうせ、国選だから、何もやってくれないんでしょ。」
パシリのような(コンビニで雑誌買って来い的な)ことを横柄な態度で要求した上で、それを私が断ると、
「それ(雑誌の差入れを断ること)が、国選と私選の違いですか?」
これが、私が国選刑事事件を担当して、よくある最も嫌な被疑者・被告人の発言です。
国選と私選でやることは同じです!
これらを言われた瞬間、正直、刑事弁護をやる気が一気に失せます。
結果的に、被疑者・被告人が発言したこと(どうせ、・・・)が図らずも現実化してしまいます。
私も含め、ほとんどの弁護士は聖人君子ではありません。ごく普通の人間で、好き嫌いも大いにあります。
このブログを見た方は、私が良い人のように思うそうですが、決してそのようなことはありません。