はじめに
久しぶりに「刑事事件あるある」を記事にしたいと思います。
前回と前々回の「刑事事件あるある」は、下位の記事です。
masakazu-kobayashi.hatenablog.com
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菓子折り・コーヒー
私選(=被疑者・被告人との直接の委任契約に基づく)刑事事件の場合には、被疑者・被告人ないしその関係者から、菓子折りを頂いたり、ファミレスなど外での打ち合わせの際にコーヒー代を出してもらったりすることはよくあり、特に問題はありません。
民事事件を受任する場合も同様です。
しかし、国選刑事事件の場合には、被疑者・被告人ないしその関係者から、何らかの利益の供与を受けることは禁止されています。
国(裁判所)から選任されるわけなので、言ってみれば、当該刑事事件に限っては公務員のような扱いといった感じでしょうか。
念のため、誤解のないようにご説明すると、国選であっても、刑事弁護人として、検察官はもちろん裁判所との間で、何らの遠慮もなく、被疑者・被告人の利益のために活動をすることは、私選の場合と全く同様です。国選だからといって、検察官はもちろん裁判所に迎合したり、妥協したりするようなことはありません。
しかし、公務員のような立場なので、被疑者等から菓子折りを頂くのはお断りしなければなりませんし、私の分のコーヒー代は先んじて支払いをする必要があります。
これ、理屈としては全くそのとおりなのですが、実際の場面では、結構困ることがあります。
以下は、ある地方からいらしゃった被疑者のお母様の事例です。
被告人の母:「つまらないものですが、どうぞお召し上がりください。」といって私にお菓子の箱を渡そうとする。
私:「すいません。私、国選の弁護人なものですから、頂くことができないのです。」
被告人の母:「いやいやそんなことおっしゃらずに、大したものではありませんので。」
私:「いや、国選の弁護人って、公務員のような立場なので、頂くことができないのです。」
被告人の母:「そんなことおっしゃらずに。わかりました。それでは、事務員の方にお渡しください。」
私:「いや、そういうわけにも・・・。(ちょっと大袈裟な感じで、)お菓子を頂いてしまうと弁護士会から懲戒請求されて、弁護士資格を資格を失います。お気持ちだけ頂きます。」
被告人の母:「じゃあ、このお菓子は、この部屋のごみ箱に捨てて行きます。いいですよね?」といって、事務所の部屋のごみ箱の近くにお菓子を置く。
私:「うっ、こっ、困ります・・・。それでは、私、そのお菓子代をお支払いします。そうれすれば、私が購入したということで、・・・」
って感じです。特に、ご年配の方などはこんな感じで、事務所に来る際に、わざわざ駅で買って来てくれて大変有難いのですが、私としては、何とも断るのが申し訳なくて、結構困ってしまいます。
その保護者は、検察官の取調べに向かう際に、両手いっぱいにお菓子の箱を持って行きました(笑)。検察官も、私と同様、丁重にお断りしたのでしょうね(笑)。
ファミレスなどでの打ち合わせの際は、コーヒー代については、初めから請求書を自分の方に取ってしまいます(笑)。
保釈金の返金
保釈金を現金で裁判所に納める場合、被告人のご家族や友人の方に、現金を裁判所まで持参して頂くことが多いです。(ペイジーでの納金も可能のようですね。)
納金の際には、私としては負担がないのですが、裁判が終わって保釈金が返金される場合、なぜか、私の預金口座に振り込まれます。
裁判所で、直接、納金した関係者の口座に返金されるようにできないか尋ねても、
「いや、先生の預金口座への返金でお願いします。」
と言われてしまいます。
これも、結構困ります。
というのは、保釈金の金額は、一審では通常150万円~なのですが、事件によっては一審でも300万円になることもあります。
また、控訴審だと、200万円を超えるのは結構普通です。
それで、高額で困るのは、私の某メガバンクの送金の1日の限度額が200万円に制限されていることです。
どうも、生体認証にすれば、500万円くらいまで大丈夫なようなのですが、手続きが面倒ですよね。
ネットバンキングだと何とかなるのでしょうか。ちょっと勉強する必要がありそうです。
何とか、弁護士の預金口座を介さないで、保釈金を納金・返還できる簡単なスキームがあれば有難いのになぁといつも思います。
(もしかしたら、あるのかもしれませんが、不勉強で把握していません。)
最後に
また、気が向いたら、刑事事件あるあるを続けたいと思います。