理系弁護士、特許×ビール×宇宙×刑事

理系弁護士・弁理士。特許、知財、宇宙、ビール、刑事事件がテーマです。

他社特許対策セミナーの講師 & 知財部での勤務

 

セミナー講師

 

本日午後に、セミナーの講師をつとめてきました。

 

 

johokiko.co.jp

 

東京でコロナ感染者が増加しつつあるという状況ではあったのですが、幸い、所定の参加人数が集まったということで、(Webではなく、)会場でのセミナー開催でした。

 

ルールに従い、 マスクを付けた状態で4時間も話をしましたので、長時間話すと大変苦しいのに加え、口に籠った熱が頭に回り、頭がぼーっとしてしまいましたが、何とか無事終了しました。

 

セミナーの内容

 

「元特許庁審査官・弁護士から見た他社特許回避・無効化ノウハウ及び特許権利行使と特許戦略」という長い長いタイトルですが、要するに、

 

(1)どういう特許権が強い(怖い)か

   →クレームの読み方、作成の仕方 & 明細書

(2)他社特許の対策

   →ウォッチングから情報提供、設計回避、無効化、交渉まで

(3)特許戦略

   →企業秘密 

 

を詳細に説明する半日セミナーです。

 

私は、審査官(審査官捕を含む)として特許審査業務に7年半従事しましたので、(1)は若いころから実務で扱ってきた得意のテーマです。今、特許弁護士としては10年ほどのキャリアですが、仕事の8割が特許紛争(クレーム解釈がメイン)ですので、(1)は私のライフワークでもあります。

 

(2)については、特許弁護士として特許紛争を扱う中で、勉強し、鍛えられました。

 

(3)特許戦略は、(1)(2)を踏まえての経営も含めたコンサル的なものですが、20年近くも特許業界にいるので、いろいろと自分なりの特許戦略を整理できるようになり、それを皆様に還元しています。ただ、あまり仕事で特許戦略を一般的に語ることはありません。このようなセミナーくらいでしょうか。

 

知財戦略(特許戦略)×ベンチャー

 

話は変わって、5月のコロナで一時的に暇になって、このブログを始めました。

同時に、ブログを始める以上は、様々な情報(特に、特許関係)を得た方がよいと思い、ツイッターを始めたり、他の方のブログを見るようになりました。

 

余談ですが、最近のベンチャー知財戦略のネタは、巷に溢れていますね。

 

ipbase.go.jp

 

これが、代表的でしょうか。

 

① 特許庁がやっているもので、そもそも信用できますし、情報も多いですし、

② ベンチャーならではの格好いい、耳に心地のよい言葉も並んでいますし、

③ 事例集もあって具体的ですし、

 

素晴らしいですね。

ですが、役所にこれをやられてしまうと、我々の仕事の広がりが・・・(笑)。

 

知財×ベンチャー」は、今、若い実務家(弁理士や弁護士)の方々が、様々な情報を発信して、頑張っておられます。ベンチャー特有の専門用語を駆使してお話しされており、「意識高い」(「意識高い系」ではない)感じが半端ありません。

 

知財×ベンチャー」は、何かすごく大きなビジネスになりそうな、あるいは、そうでもなさそうな、どっちつかずな雰囲気を感じています。

 

私も、ベンチャーのクライアントも最近は増えてきましたが、ほとんどのクライアントは知財部がしっかりとした大企業です。

ですので、侵害や無効などもピンポイントでの相談が多く、知財コンサル的なものは少ないです。

 

ですので、今回のようなセミナーは、知財戦略を語ることができる貴重な機会でした。

 

本当は、これから伸びてくるベンチャーなどに対して、全体の技術を十分に理解して、次にどのような技術開発を進め、特許をとり(あるいはノウハウとして秘匿し)、資金を集め、どこの企業と組み、大きくしていくか、といった経営面も含めた戦略には非常に興味があるのですが、まだ、本格的にそのような仕事はする機会に恵まれておりません。

年を取ればとるほど、侵害、無効の判断よりも、(おしゃれな用語を並べたてるのではなく、)「地に足のついた」知財コンサルの仕事をやりたいなぁと思う今日この頃です。

 

知財部での勤務

 

実は、7月1日から、某企業の知財部で、月に10日間働くことになりました。

主に、知財関係の契約書を起案・レビューする仕事がメインで、更に、他社特許の対策をする業務フローに意見を述べる仕事も仰せつかっております。

 

私がお役に立てるのかどうか甚だ疑問で、不安でもありますが、一方で、企業の知財部を内部から見ることができるのは、非常に良い機会です。

まさかこのような機会を得らえるとは思ってもみませんでした。

 

私は、審査官、弁護士、弁理士を経験し、留学してドイツの法律事務所、特許事務所でも勤務し、おまけに今回、企業の知財部員として働く機会も得て、知財業界での経験としては、非常なほどに恵まれています。

 

しかし、特許弁護士の仕事をしながら、知財部でも働き、(しかも、刑事事件も扱う)となると、仕事量的にも精神的にも非常に大変で、この歳(45歳)でちょっと大丈夫かなぁ、と思ったりもしています。

 

法律事務所の仕事と知財部での仕事では、それこそ、メールシステムから何から勝手が全然違うので、1日おきに違うシステムで、違うフローで、違うメンバーと仕事を進めるというのは、頭が混乱してきます。1週間経つと、どっと疲れます。

 

事務所の仕事は、ちょうどコロナ渦で延期になった仕事が6月から復活しているため、現在、大忙しで、現状、土・日も働かなければならなくなってしまいます。

 

何とか、倒れないように、適度なビールとともに、乗り切りたいと思います。