理系弁護士、特許×ビール×宇宙×刑事

理系弁護士・弁理士。特許、知財、宇宙、ビール、刑事事件がテーマです。

ビール紀行(京都・奈良)その2

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花街麦酒

 

はじめに

 

 今回の記事は、京都・奈良のビール紀行の第2回目です。 

 

 前回は、金閣寺仁和寺を訪れて、スーパードライの抹茶ビールを紹介しました。

 

masakazu-kobayashi.hatenablog.com

 

 

 まずは、観光の続きから。

 

観光(続き)

 

東本願寺

 

東本願寺は、京都駅から歩いてすぐのところにあります。

立派な威厳ある建物ですね。

確か、私の家は、浄土真宗東本願寺派だった気がします・・・。

 

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東本願寺

 

西本願寺

 

東本願寺から少し西へ歩くと、西本願寺へ着きます。

少し、上がって、回廊を歩いてみました。何か落ち着く感じがしますね。

寒いので、足が冷たくて大変でしたが・・・。

 

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西本願寺の回廊

 

西本願寺には、下の写真のような大きな木がありました。

もの凄く勢いのある印象で、今年も頑張ろうという気になりました。

 

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西本願寺の木

 

和菓子作り体験

 

前回と同じ、京都タワーにある和菓子作り体験に参加しました。

前回は、下のように、秋をイメージした和菓子でした。

 

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和菓子作り(11月)


今回は、お正月(1月)の和菓子で、干支である丑の和菓子も作りました。

 

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見本の和菓子

 

 上の写真がお手本ですが、実際に作ると、下のような感じで出来ます。

 2回目とはいえ、形はまだまだですが、味は美味しかったです。

 

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私が作った和菓子

 

ビール(京都町家麦酒醸造所)

 

京都町家麦酒醸造のビール2種類を買ってきて、ホテルで飲みました。

これも、キンシ正宗という酒造メーカーが作ったビールですね。 

 

kinshimasamune.com

 

さて、今回買ったのは、花街麦酒アルト)と平安麦酒ドライ・スタウト)です。

 

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花街麦酒(アルト)

 

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花街麦酒(アルト)

 

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平安麦酒(ドライスタウト)

 

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平安麦酒

 

 花街麦酒(アルト)も平安麦酒(ドライスタウト)も、酵母入りで、副原料なしのビールです。

 

 アルトは、デュッセルドルフが有名ですが、花街麦酒も含めて、日本でも何種類も飲めるようになりました。これは、コクがって、大変美味しいです。

 

 平安麦酒の方は、コーヒーポーターのように、コーヒーの香りがしました。

 

 いずれも、大変美味しく、また飲みたいですね。

 

最後に

 

前回の京都のビール紀行で紹介した京都麦酒も、黄桜による地ビールでした。

 

kizakura.co.jp

 

masakazu-kobayashi.hatenablog.com

masakazu-kobayashi.hatenablog.com

 

 

京都では、酒造メーカーが地ビールも手掛けているのですね。

次回(奈良)に続きます。

 

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ビール紀行(京都・奈良)その1

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金閣寺

 

はじめに

 

 京都・奈良のビール紀行をお届けします。

 前回の京都・奈良のビール紀行は、4回にわたってお届けしました。

 

masakazu-kobayashi.hatenablog.com

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観光

 

金閣寺

 

 まずは、前回の旅行では工事中のため見られなかったのですが、今回はリニューアルされた金ぴかの金閣寺です。

 

 冒頭の写真ですが、池や枝を含めると、素人のスマホ写真でも、芸術的な美しさを醸し出しますね。

 

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金閣寺

 

 金閣寺は、近くで見るとこんな感じです。

 下(1階)までは金箔を貼ってないんですね。

 

仁和寺

 

 金閣寺からはちょっとバスで移動して、仁和寺に来ました。 

 

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仁和寺 御殿の庭園

 

 有料ですが、御殿の見学をしました。

 

 庭が綺麗に整えられていて美しかったです。この歳になって、やっと良さが分かってきました。

 

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仁和寺 御殿の庭園

 

 何でもないコケを見ても、落ち着きと何かノスタルジックな感じを味わえます。

 

ビール(抹茶ビール)

 

 今回は、アサヒスーパードライ辻利抹茶のコラボの抹茶ビールを見つけました。

 

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抹茶ビール

 

 前回の京都のビール紀行では、二条城で、プレミアムモルツの抹茶ビールを飲みましたが、ビール会社大手は、それぞれ抹茶ビールを出しているのでしょうか。

 

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抹茶ビール

 

 さて、感想ですが、色は正に抹茶色で、二条城で飲んだプレミアムモルツの抹茶ビールよりも、抹茶の風味は結構した気がしました。

 

 泡立ちも中々良いです。

 

 抹茶のまろやかさがある一方、ビールなのですっきりしています。

 

 スーパードライの良さ(キレ)はやや減殺されてしまいますが、まぁ良いでしょう。

 

 記念に1回飲む程度というビールですしょうか。

 

 それにしても、250mlで680円は、辻利でもちょっと高すぎますね。

 

最後に

 

 京都のお寺を巡り、今回も奈良にも行きました。

 また、続きをお届けします。

 

 

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刑事事件-受刑者に対する陰部検査

はじめに

 

 今回は、日弁連が、大阪刑務所に対して、受刑者に陰部検査やら全裸で身体検査をしていることに対して、重大な人権侵害であると勧告している話題について記事にしたいと思います。

 

www.nichibenren.or.jp

 

要するに、人として扱っていないということ

 

 勧告書によれば、大阪刑務所は、

 

「全ての受刑者を対象に,年数回定期的に,受刑者が,刑務官が見ているもとで,陰茎を上に持ち上げて陰嚢を見せ,刑務官が目視で確認する態様で陰部検査を行っている。」

 

「少なくとも2016年9月27日まで,工場で作業を行う受刑者に対し,始業前及び終業後に,毎回,複数の受刑者が全裸になって並び,刑務官が受刑者を目視するという全裸の身体検査を行っていた。」

 

「2016年11月21日以降,工場で作業を行う受刑者に対し,作業の前後に,毎回,受刑者がパンツ1枚を着用して一人ずつ検査位置手前の線に立ち,刑務官に対して,両腕を真上に伸ばして脇の下を見せるとともに,指を広げて両手の表裏を見せ,両腕を下ろし称呼番号を明確に言って検査位置に一歩進み,次に,パンツの前面に両手親指を入れて腰ゴムを広げ,刑務官から「よし。」と告げられれば更に一歩進み,各指で左右に腰ゴムを広げながら腰背部に送り,足首を返して足裏を見せ,刑務官から「よし。」と検査終了を告げられれば,更衣室内を別区画に進み,始業時は工場衣を,
終了時は居室衣を着用する,との要領で身体検査を行っている。」

 

のだそうです(括弧内は引用です。赤色を付したのは私です。)。

 

どうでしょうか。

皆さんは、誰かが罪を犯したらこういう扱いをされるということで、宜しいんでしょうかね。

 

 「自分は、絶対、犯罪なんてしない。」

 「自分とは関係ない遠い世界の話だ。」

 

という感想でしょうか。

 

 私は、刑事弁護をしているので、ごく普通の人が、(ストレスやらトラブルやらに起因して)ふとしたきっかけから犯罪をしてしまい、刑務所に行ってしまうのをたくさん見ています。

 

 あなたがそうでなくても、家族の誰かが、このようなことになってしまうかもしれません。

 

 罪を犯した罰として懲役刑というのがあるわけですが、自由に刑務所から出れず、刑務所内で作業をしなければなりません。朝起きる時間や、寝る時間、ご飯の時間、ご飯の内容、自分で決められません。相当な人権制約ですが、罪を犯したことに対する罰(懲役刑)なのである程度は仕方ないかもしれません。

 

 でも、全裸の身体検査はどうでしょう。

 

 受刑者が、何か隠し持っているかもしれないと、それを探そうとしているのでしょうね。

(別に、刑務官は、受刑者の裸を見たいわけではないでしょうし。)

 

 しかし、どうでしょう。

 何か隠し持っていたりするのを防止する手立ては、全裸検査だけでしょうか。

 

 空港でテロを防止する必要があります。爆弾やら刃物やら持ち込んでるかもしれません。

 さて、我々、全裸検査されますかね。

 誰か、何か隠し持ってるかもしれませんよね。

 

 今は、何かを発見するために、様々な技術がありますよね。刑務所にも導入できませんでしょうか。

 

 より人権制約の小さい手段って、普通に思いつきますよね。

 

 それとも、全裸検査(屈辱・恥辱)も、懲役刑の一部なんでしょうかね。

 

 現在、何時代でしたっけ。

 

 あと、ついてですが、受刑者って、番号で呼ばれますよね。

 未決拘禁者(まだ、罪が確定していない被疑者・被告人)も、警察署の留置施設や拘置所で番号で呼ばれてますよね。

 

 これ、人として扱ってませんよね。

 番号で呼ぶって、やむを得ないことでしょうか。

 

 私、刑事弁護人として、警察署に被疑者に接見(=面会)に行って、

 

 「誰誰さんの接見お願いします。」

 

って受付で言うのです。そうすると、受付の警察官は、留置係に内線で電話し、被疑者の在監を確認してくれます。

 

 ときどき、(外国人だったり、ちょっと変わった苗字だったりした場合、)警察官に名前がうまく伝わらないことがあるんですよ。例えば、

 

 「ワタベさん、ワタナベさん???」

 

って感じで。

 

 その時、私、一回、思い立って、「あなたたちが、○○番って言っている人ですよ。」

 

て警察官に行ってみたことがあります。

 

 ちょっと驚いた顔で私を見ました。

 

 「ほら、人を番号で呼ぶのって、自分たち同士では慣れてしまって当然のようにしてるけど、私のような外部者が、突然、被疑者を番号で読んだら違和感あるでしょ。人権の意識って、そういうものですよ。特に、警察官の職務なんて、場合によっては法で人権を制約できてしまうわけですから、特に人権に配慮しなければならない仕事でしょ。」

 

って言おうかと思いましたが、やめました。

 

 そう、違和感持たないと。

 

 わざわざ被疑者にその人の「番号」を聞いたりしませんが、接見の際やら手続きの際に、警察官同士が、被疑者を番号で呼び合っているので、私にもその番号が聞こえてくるのですね。なので、偶々その被疑者の「番号」知ってたのです。

 

最後に

 

 別に、私、人権派弁護士でも何でもありません。

 

 私、日弁連はあまり好きではありませんし、私の意見は別にしても、(被害者の代理人をする弁護人もいるわけですので)、勝手に、死刑反対が弁護士の総意かのように言っている点など、おかしいなぁと思います。

 

 でも、この受刑者に対する全裸検査という待遇は、日弁連がいうように、人権侵害で明らかな誤りでしょうね。

 

 まぁ、他人事だと思っている方も多いでしょうが、政治家の先生も逮捕されたりしますので、我々一般庶民も警察署や拘置所や刑務所に収容されることも、あり得ないわけではないのです。ストレスの多い時代ですし。

 

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ビール紀行(日本・有楽町-TOKYO ALEWORKS)

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お試しセット(Beer Flight)

 

はじめに

 

 東京は、本日、2回目のコロナの緊急事態宣言が出てしまいました。

 

 今回は、昨年夏に有楽町にオープンしたTOKYO ALEWORKS TAPROOMhttps://tokyoaleworks.com/taprooms/)を紹介したいと思います。

 

 昨年末に訪問しました。

 

TOKYO ALEWORKS TAPROOM

 

 私の事務所は、有楽町にあるので、このお店はすぐ近くなのですが、忙しくて今まで行けませんでした。やっとの訪問です。

 

 場所は、有楽町のビックカメラの裏の高架下にあります。有楽町駅の東京国際フォーラム側出口のすぐ近くです。

 

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TOKYO ALEWORKS TAPROOM

 

 Beer Flightというメニューが外に置いてあって、お試しセットが1500円でした。1杯200ml程度です。

 

 この時は、下のメニューの13種類のビールの中から4種類を選びました。

 メニューには全16種類とありますが、残りはビールではない別のアルコールだったと思います。

 

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ビール・メニュー

 

 ABV(アルコール度数)IBU値(苦味)が書かれているので、自分の好きなものを選べて良いですね。

 

 そういえば、以前ご紹介したRIOT BEERでも、これらの値がメニューにありました。親切ですね。

 

masakazu-kobayashi.hatenablog.com

 

 さて、私が選んだのは、バランス良く

 

 1.テイスティーIPA (ABV:7%、IBU:45)

   ※非常に爽やかで飲みやすいIPAでした。

 

 8.フラゴン フィラー ESB (ABV:5%、IBU:37) 

   ※英国のエクストラ スペシャル ビター

   ※やっぱり英国のは美味しいです。紅茶のような飲みやすさです。

    名前とは違い、そんなに苦くありません。

 

 9.バック トゥ ベーシックス ザ ペール エール

   (ABV:5.5%、IBU:35)

   アメリカン ペールエール

   ※これも爽やかで美味しいですが、ペールエールは英国の方が好きです。

 

11.エスプレッソ ポーター (ABV:5%、IBU:29)

   ※他のビールと全くコーヒーの香り、風味なので、

    お試しセットを注文する際には、ポーターないしスタウトは必須ですね。

 

です。

 

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Beer Flight

 

 もう1杯いけそうでしたので、

 

 6.ブラスダ・デュー ※ドライ・スタウト

 

ハーフ・パイントを頂きました。

 確か700円くらいだったと思います。

 

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6.ブラスダ・デュー(ドライ・スタウト)


 全体的どれも個性があって美味しかったです。

 全部、板橋のブリュワリーで醸造しているオリジナルだそうです。すごいですね。

 

 偶然、この醸造所の醸造家の方も飲んでいらっしゃいまして、ご挨拶しました。

 

最後に

 

 もう何種類か他のビールを試したいですし、今回飲んだ8.フラゴン フィラー ESBは、是非また飲みたいです。

 

 事務所に近いし、さっと1杯だけ飲める感じの雰囲気のお店というのも良かったです。

 

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特許実務-進歩性の基本的考え方(ケース1)続き

 

 はじめに

 

 今回は、前回の下記記事の続きである進歩性の基本的考え方ケーススタディの続きをご説明したいと思います。 

 

masakazu-kobayashi.hatenablog.com

 

ケーススタディ1(続き)

 

仮想事例

 

 上記スライドにあるように、仮想事例ではありますが、本件発明は、

 

 推進機を3個有する移動体

 

です。実施例としてはスライドの上図のとおり、進行方向前方に1個後方に2個推進機がある移動体です。

 

 従来発明(公知文献1)は、

 

 推進機を2個有する移動体

 

で、具体的には、後方に2個推進機がある移動体です。

 

とします。

 

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ケーススタディ

 

ロジックA(復習)

 

 公知発明1(2個の推進機を有する移動体)において、更にこの公知文献1が開示する(推進力の不足という課題解決のために、推進機を増やすという)技術的思想を推し進め(具体的には、1個から2個へ、更に2個から3個へ)、3個の推進機を有する移動体とすることは、容易に想到し得たものである。

 

あるいは、

 

 公知文献1には、推進力の増加という【課題】を実現すべく、【従来技術】が推進機1個であったのに対し、【公知発明】が推進機を2個設けていることからすれば、公知文献1には推進機を増やすという示唆があると言える。

 そして、公知文献1記載の当該示唆を踏まえれば、公知発明1(2個の推進機を有する移動体)において、推進機を更に増やすこと、すなわち、推進機を3個有する移動体とすることは、容易に想到し得たものである。

 

ロジックB

 

 ロジックBは、公知文献2(副引用文献)を使います。 

 公知文献2には、進行方向で見て、移動体の前方に1個の推進機を有する移動体が開示されている。

 

 なお、公知文献1には、進行方向で見て、移動体の後部に2個の推進機を有する移動体が開示されている。

 

 さて、公知文献1も2も、そぞれ、推進機を3個有するわけではありませんが、公知文献1と公知文献2を重ね合わせてみると・・・なんと、推進機が3個になります!(笑)

 

 さぁ、ロジックを構築してみましょう。

 

 公知文献1には、後方に2個の推進機を有する移動体が開示されている。

 公知文献2には、前方に1個の推進機を有する移動体が開示されている。

 

 公知文献1及び2は、推進機を有する移動体という点で技術分野が同一であり、移動体を推進機で推進させるという機能・作用も同様である。

 なお、公知文献1記載の推進機において、公知文献2のように、前方に1個の推進機を設けることについて、設置上の制約などの阻害要因も認められない

 むしろ、公知文献1は、推進機を増やす点について示唆があるとさえ言える。

 

 したがって、公知発明1の(後方に)2個推進機を有する移動体において、公知発明2の(前方に)1個推進機を有する構成を採用し、本件発明のように、合計3個の推進機を有するようにすることは、当業者が容易に想到し得たものである。

 その奏する効果についても、(推進機の推進力を足し合わせたものに過ぎず)予測し得たものである。

 

 ロジックBは、公知文献1、2には、それぞれ、2個、1個の推進機を有する移動体しか開示されていませんが、推進機の具体的な構成まで踏み込んでいるわけです。

 

 しかし、公知文献を具体的に踏み込むことは、必ずしも進歩性のロジックを常に強くするわけではありません

 

 ケース1の例で言えば、たとえば、公知文献1の(公知文献2の推進機を適用したい)前方部分に移動体に必須の構成があり、公知文献2の推進機をそのまま適用できない設置上の制約があれば、組合せについての阻害要因となってしまい、進歩性を肯定する方向の事情となってしまいますね。

 

ロジックAとロジックBの評価

 

 下記記事でも書きましたが論より証拠で、より証拠の割合が多い(次回ご説明する)ロジックBの方が良いかもしれません。

 

masakazu-kobayashi.hatenablog.com

 

 しかし、このロジックBでは、本件発明が(3個ではなく)4個以上の推進機を有する移動体の発明であったとしたら、進歩性を否定することはできないかもしれません。

 

 さて、どうでしょう。

 世の中にある公知文献では、推進機2個の移動体しか知られてしない場合、推進機3個の移動体はロジックBでどうにか進歩性を否定できたとしても、(ロジックBでは進歩性を否定することが難しい)推進機4個以上の移動体は、(格別顕著な効果がない場合でも)進歩性ありとして特許権を付与すべきでしょうか?

 

 ロジックAを使えば、4個以上の推進機を有する移動体についても、進歩性無しという一応の理屈(1→2という推進機を増やすという技術思想を推し進めて、2→3→4→5・・・も言える)は構築できます。

 

 ロジックA、ロジックBとも、一長一短かもしれません。

 

最後に

 

 また、進歩性の基本的考え方(14)以降を続けたいと思いますが、時々、ケーススタディも取り入れたいと思います。

 

 

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特許実務-進歩性の基本的考え方(ケース1)

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ケーススタディ

 

はじめに

 

 これまで、13回にわたって、進歩性の基本的考え方について記事にしてきました。

 

 論理付けやら、本件発明の課題、効果など、進歩性の文脈で問題となるトピックについて説明してきました。

 

 これからも暫くは続けていく予定なのですが、(一応具体例も入れてはいますが)概念の説明だけでは具体性に欠くところもあるので、ケーススタディをいくつか作成しています。

 

 今回は、その一つ目について紹介したいと思います。

 

ケーススタディ

 

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ケーススタディ

 

仮想事例

 

 上記スライドにあるように、仮想事例ではありますが、本件発明は、

 

 推進機を3個有する移動体

 

です。説明を重視するため、ちょっと抽象的な発明ですいませんが、実施例としてはスライドの上図のとおり、進行方向前方に1個後方に2個推進機がある移動体です。

 

 従来発明(公知文献1)は、

 

 推進機を2個有する移動体

 

で、具体的には、後方に2個推進機がある移動体です。

 

とします。

 残念ながら、(新規性を否定できるような)3個推進機がある移動体は先行文献調査で見つからなかったとします。

 

 さて、本件発明は、公知文献1に基づいて、容易に想到し得たと言えるでしょうか。

 

ロジックA (文献1つで)

 

 2個を3個にするのは容易でしょ?

 

と言いたいところですが根拠がないと、現に3個の推進機を有する移動体がこの世ににない以上、独断になってしまいますね。

 

 さて、公知文献1を見ると、【従来技術】では推進器が1個だけでしたが、【課題】1個では推進力が不十分であったことから、【発明】2個の推進機を設けたと記載されていたとします。

 

 そうすると、確かに、公知文献1には、3個の推進機を有する移動体自体は開示されていませんが、推進機を(1個から2個へ)増やそうという技術的思想は読み取れるかもしれません。

 

 もう少し詳しく言うとすると、

 

 【従来技術】推進機1個だけの移動体

 

 【課題】移動体において、推進力の不足

 

 【技術的思想】推進機を増やすという技術思想

        ※他にも、推進力の不足という課題を解決する技術的思想としては、

         移動体の軽量化推進機自体の性能向上なども考えられますが、

         本件発明は、推進機の個数を増やすという点が技術的思想ですね。

 

 【発明】(=課題解決原理) 推進機を2個有する移動体

 

です。

 

 なお、技術的思想に関しては、下記記事をご覧ください。

 

masakazu-kobayashi.hatenablog.com

 

 そうすると、公知文献1には、(具体的には、1個から2個へ)推進機を増やすという技術思想が読み取れますから、公知文献1記載の2個の推進機を有する移動体において、更にこの公知文献1が開示する技術的思想を推し進め(1個から2個へ、更に2個から3個へ)、3個の推進機を有する移動体とすることは、容易に想到し得たということができるかもしれません。

 

 公知文献1から読み取った推進機の個数を増やすと言う技術的思想は、別の言い方をすれば、公知文献1に推進機を(更に)増やすという示唆があるという言い方もできるかもしれません。

 示唆については、まだテーマとして記事にしていませんので、いずれ記事にしたいと思います。

 

 しかし、まぁ、証拠よりも論理(理屈)の割合が大きいので、なかなか説得力があるかどうかはわかりません。

 この点については、下記記事(論より証拠)でも言及しました。

 

masakazu-kobayashi.hatenablog.com

 

 しかし、このロジックAによると、たとえば、本件発明において推進機が3個ではなく、4個以上であった場合にも、同様の理屈で、進歩性欠如のロジックを構築できるわけです。

 

 「1個⇒2個」であれば、これを更に「2個⇒3個」にするだけでなく、「3個⇒4個(以上)」にするのも容易と言うことできるわけです。

 

 プログラミングのループみたいですね。

 

 これに対し、次回ご紹介する予定の(スライドにもある)ロジックBは、ロジックAよりも証拠の割合は多い(論理は少ない)ですが、4個以上の推進機を有する移動体について、進歩性欠如のロジックを構築することは難しいかもしれません。

 

最後に

 

 次回は、同じ仮想事例で、(公知文献1に公知文献2を組み合わせるロジックBについて説明したいと思います。

 

 

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刑事事件-被疑者・被告人に対する感情

 

 

はじめに

 

 今回は、被疑者・被告人に対する感情というテーマで記事を書きたいと思います。

 

被疑者・被告人に対する感情

 

 弁護人は、被疑者・被告人を弁護するという立場にありますので、自白している(=罪を認めている)被疑者・被告人に対して、

 

 「こんな犯罪をしやがって!けしからん。」

 

などという怒りの感情は、ほとんどありません。

 ただし、事件の内容や、被疑者・被告人の態度、たとえば、

 

 「犯罪をして何が悪いんだ!」

 

というような人に対しては、普通に、

 

 「ひでぇなぁ、こいつ。」

 

と思うことは正直あります。もちろん、言葉には出しません。

 

原則として感情は出さない

 

 弁護人である私は、被疑者・被告人に対して感情を出すことは、原則としてしません。

 皆さんが思っているよりも、はるかにビジネスライクに進めて行きます。

 

 被疑者・被告人にとって有利な結論、つまり、身柄拘束が解かれ、不起訴となり、あるいは、裁判になっても執行猶予や減刑がなされるよう、淡々やるべきことをやるだけです。

 

被疑者・被告人に対して、パフォーマンスで感情を出すことはある

 

 被疑者・被告人が罪を犯した上で、反省をしていないような場合には、反省を促すことで有利な結果を得るために、ときどきですが、弁護人である私が、パフォーマンスとして感情的に振る舞うことはあります。

 

 悲しい顔をすることもあれば、怒りとともに話すこともあります。

 

 また、コミュニケーションを円滑にする必要があるときには、真に同情していなくても、同情しているという感情を出すことで、事件をうまく進めようとすることもあります。

 

法廷の場でも、パフォーマンスで感情を出すことはある

 

 自白事件では、被告人にとって少しでも有利な結果を得るべく、被告人が真に反省していることを裁判官に示す必要があります。

 

 もちろん、被告人自身が、法廷で、①自分が犯した罪を十分に認識していることを示し、②被害者に対する思いを具体的に語り、更には、③犯罪を繰り返さないことを具体的な方策とともに誓うというのが理想なわけですが、正直なところ、法廷の場で、それをうまくできる饒舌な被告人はほとんどいません

 

 被告人質問で、理詰めで攻めてくる検察官や裁判官がいますが、普通の人は、しかも緊張感のある法廷で、理路整然としゃべれないという事実を分かっていません。彼らの期待値は高すぎます。

 

 そこで、弁護人が、法廷で、ちょっと怒ったようなパフォーマンスで厳しい質問を投げかけ、その反射的効果として、被告人が反省している姿を見せるというテクニックを使うことはあります。

 

 なお、なぜ、被告人にとって厳しい質問を、味方である弁護人がするのかと疑問に思われる方もいるかもしれません。

 

 しかし、被告人にとって厳しい質問は、弁護人がしなくとも、検察官が被告人に対する反対質問でほぼ必ずやってきます

 

 ですので、予め、弁護人が被告人にとって厳しい質問も終わらせてしまい、検察官が反対質問において不必要に同じ質問を繰り返さないように封じるという手を使います。

 

法廷で涙を流す裁判官は・・・

 

 私は弁護人として、被害者に対してはもちろん、被告人に対して同情で涙を流すことはありません。そのような感情にさえなりません。悪く言えば、感情移入を全くしていません。

 また、私が扱った事件で、被告人に感情移入して涙を流すパフォーマンスをすべき事件にもまだ出会っていません。

 

 一方、検察官が、ときどき、法廷で(被害者を思い)涙を流すことはあるようですが、被害者側の立場でのパフォーマンスだと信じます。真に、感情で涙を流しているのであれば、プロではありません。

 

 裁判官が、被告人・被害者のどちらの立場にもない判断者なわけですから、法廷で、感情的になり、声を詰まらせたり、涙を流すなどというのは言語道断です。

 

 判決の後に、説諭をする裁判官もおられますが、感情抜きに説諭するのであればよいかもしれませんが、感情をこめて説諭するのはあまり賛成しません。

 

 もっとも、効果的であろうとの判断の下、被告人に真の反省を促すためにやられているのだとすれば、不適切とまでは言えないかもしれません。ただ、裁判官は法廷と裁判記録の供述でしか被告人を知らないわけで、この被告人にとって効果的か否かまでの判断はできないだろうと思っています。

 

最後に

 

 被疑者・被告人が刑事事件を起こしてしまい、落ち込んで泣いたり、その家族が被疑者・被告人に対して怒り狂ったり、被疑者・被告人が心配なあまり感情的になったりというのはよくあることです。

 

 でも、その被疑者・被告人にとって、最も有利な形で事件を終わらせるためには、(パフォーマンスによって感情を出す場合を除き、)弁護人は、感情的にならず、極めてビジネスライクに事件と向き合うのがベストだと思います。

 

 きっとお医者さんも、深刻な病気の患者に対して、涙を流すなど同情的・感情的になり過ぎてしまっては、客観的にベストな手術はできませんよね。

 

 私は、弁護人として、幸いにも、感情的にはなりません。

 

 

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